2008 Fiscal Year Annual Research Report
視覚皮質third tier visual cortexの視野再現とエリア区分
Project/Area Number |
18591912
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 浩幸 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10211434)
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Keywords | 神経解剖 / 神経回路 / 神経伝導路 / 線維連絡 / 視覚皮質 / トレーサー / BDA / 視覚野 |
Research Abstract |
[研究成果の具体的内容] 本年度は、一頭のニホンザルを用いて研究した。third tier visual cortex背側部のエリアのひとつV3A野に、神経軸索トレーサー(ビオチン化デキストランアミンBDA・小麦胚芽レクチン結合西洋わさび過酸化酵素WGA-HRP・ファーストブルー)を微量注入した。1%パラホルムアルデヒドで灌流固定し、脳を取り出した後、大脳皮質の伸展標本を作製した。1.5%パラホルムアルデヒドで、伸展した皮質を一晩圧平固定し、皮質表面に平行な面で、切片を作製した。その結果、V3A野に投射する神経細胞が、V2野のチトクロームオキシダーゼ(CO)陽性の帯(太い帯と細い帯)とCO陰性の領域のすべてに分布していることを直接明らかにした。 [意義] 視覚皮質神経回路は、HubelとLivingstoneの仮説にしたがって、V2野のCO陽性の太い帯から頭頂葉へ投射する背側路が場所の情報を処理し、CO陽性の細い帯とCO陰性の領域から側頭葉へ投射する腹側路が形と色の情報を処理していると考えられてきた。しかし、私たちの研究成果は、この仮説を否定しており、皮質視覚情報処理の新しい概念の枠組みが必要であることを示す意義を持っている。 [重要性] 大脳皮質の神経回路は、相互に様々な連絡を持っていて、単純に平行な回路として記述できるものではないことを明らかにした点で、重要な研究である。研究成果は、平成20年7月に、ヨーロッパ神経科学会において、報告した。さらに、神経解剖の分野では第1級の国際誌であるJournal of Comparative Neurologyに、投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)