2006 Fiscal Year Annual Research Report
インドシアニングリーンとフェムト秒レーザーによる光線力学療法の開発
Project/Area Number |
18591915
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村木 早苗 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90335175)
坂口 裕和 大阪大学, 医学部, 助手 (80379172)
粟津 邦男 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30324817)
田野 保雄 大阪大学, 医学部, 教授 (80093433)
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Keywords | 光線力学療法 / 非侵襲的治療 / 超短パルスレーザー / フェムト秒レーザー / インドシアニングリーン / 加齢黄斑変性 / 活性酸素 / 網膜新生血管 |
Research Abstract |
インドシアニングリーン(ICG)は生体内に安定に存在し、可視光に対しても安定な色素である。そのため、臨床では肝機能検査として広く用いられており、最近では、眼科領域における血管造形剤としても用いられている。一方、ICGは、中赤外域に特徴的な吸収帯が存在することが知られている。そこで本研究では、生体内に投与されたICGを中赤外レーザーにより励起することで活性酸素を発生させ、レーザー照射部位周囲の細胞を非侵襲的かつ特異的に死滅させる光線力学療法(Photodynamic Therapy; PDT)について研究を行っている。平成18年度はICGを用いたPDTとして加齢黄斑変性を対象疾患とし、中赤外レーザーとして超短パルスレーザー(フェムト秒パルス)のレーザーを用いて研究を行った。フェムト秒レーザーとはパルス幅がフェムト秒(10^<-15>)の超短パルスで、レーザーのエネルギーを極めて短い時間内に集中させることができる。そのため、フェムト秒レーザーを用いることにより、周囲に熱損傷を形成することなく、PDTを行うことができる。加齢黄斑変性モデルラットにICGを全身投与し、一定時間経過後、麻酔下で網膜新生血管へフェムト秒レーザー(波長800 nm)の照射を行った。その際に、種々のレーザーパワー、照射時間について検討を行った。その結果、ICGを励起するフェムト秒レーザー照射による新生血管の閉塞が認められた。その時、9mW/cm^2以下のエネルギーでは新生血管閉塞は認められず加齢黄斑変性の治療効果が得られなかったが、9mW/cm^2以上のエネルギーでは新生血管の閉塞が認められ、加齢黄斑変性に対する新しい治療方法として有用であることが示された。次年度はレーザー照射による組織障害性についても研究を行い、臨床上有用かつ安全な加齢黄斑変性に対する新しい治療方法の確立に向けた研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)