2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591919
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 直之 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座教授 (00273623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
不二門 尚 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50243233)
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
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Keywords | 不正乱視 / 波面収差 / 位相伝達特性 / 視覚の質 |
Research Abstract |
不正乱視に対する治療的屈折矯正手段を開発する上で、前年度の正常眼での結果より、不正乱視も経時的変化を考慮にいれる必要があることが想定されたため、プロトタイプの波面センサーを用いてドライアイ眼を測定したところ、高次収差の経時的変動は、高次収差が正常に比して高値をとるものの安定型を呈することが判明した。加えて、ドライアイによる点状表層角膜症が瞳孔領に及ぶものでは、高次収差の上昇がそうでないものより著明であった。研究開始時の予想としては、前年の正常人の結果から、のこぎり型で上昇すると考えられたが、のこぎり型を生じるほどの涙液が角膜前涙液層にないために、経時的に安定していると考えられた。 また正常眼の波面収差を連続測定し、単に2次の収差を屈折矯正手術で矯正する方法と、高次収差を含めて矯正する方法をシミュレーションし、比較したところ、2次収差のみ矯正する場合が、高次収差を含めて矯正する場合より術後のシミュレーションでは良好な結果が得られる場合があり、屈折矯正量の設定時には、高次収差の動態変化を考慮すべきことが示唆された。 次いで、円錐角膜の高次収差をZernikeベクトル解析を行い調査した。Zernike多項式のペアの項をベクトル合成することで、収差量と軸で表現することが可能となり、フェイスプレートによる高次収差の矯正が視野に入るためで、結果として円錐角膜では、コマ収差が予想どおり垂直のコマ収差が優位であったが、それ以外にも矢状収差や球面収差が正常とは逆のパターンを示した。それに加え、ハードコンタクトレンズを装用させ、不正乱視を矯正した状態で測定したところ、不正乱視は軽減したが残存し、しかもコマ収差の軸が反対になっていた。このことから、ハードコンタクトレンズによる矯正では、角膜後面の高次収差が残余していることが推測され、角膜後面の高次収差の測定が、不正乱視の矯正の際に追加して考える必要性が示された。
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