2007 Fiscal Year Annual Research Report
重症ドライアイにおける眼表面ムチンの発現についての検討
Project/Area Number |
18591920
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 裕一 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (70379171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 幸二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40244610)
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Keywords | 膜型ムチン / MUC1 / MUC4 / MUC16 / 口腔粘膜上皮 / 培養上皮シート |
Research Abstract |
現在、わが国には、800万人を超えるドライ患者がいるといわれている。そのうち、激しい眼痛や視力障害を伴うなど、QOLが著しく低下する重症ドライアイの原因として、Stevens-Johnson症候群、眼類天庖瘡、角膜化学外傷などが挙げられる。これらは以前は、従来の角膜移植では治療が困難だといわれていた。しなしながら、近年になって、これらの疾患に対し、培養自己口腔粘膜上皮シート移植を行うことがわが国を中心として報告され、その有効性が明らかになっている。 以前より、我々は、眼表面に発現するムチンについて研究をおこなってきた。今回、我々は、培養口腔粘膜上皮シートに発現する膜型ムチンの発現についての研究を行っている。現在まで、正常ボランティアから採取した口腔粘膜組織をもちいて、膜型ムチンはmRNAレベルにおいてもタンパクレベルにおいても発現が著しく抑制されているが、それらの上皮を培養し、重層の培養シートを作成すると、MUC1,MUC4,MUC16において上昇がみられることが明らかになった。この発現パターンは、正常の角結膜上皮が発現する膜型ムチンの発現パターンと一致している。タンパクレベルにおいても特にMUC16は、培養口腔粘膜上皮シートの最表層細胞のapical側にのみ特異的にみられ、口腔シートと角膜上皮における発現パターンは一致していた。走査型電子顕微鏡での検討では、両者ともmicorvilliが細胞表面に発現しており、micorvilliの発現の有無が、膜型ムチンの発現と相関していなかった。したがって、膜型ムチンの発現を制御している因子があり、その因子が、口腔粘膜と眼表面において膜型ムチンのプロモーター領域に何かしらの作用を起こしている可能性がある。 今後は、膜型ムチン(特にMUC16)のプロモーター領域に焦点をあて、MUC16の発現を制御している因子を解明していきたいと考えている。
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