2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本人に適した遺伝性眼疾患の系統的な迅速ゲノム診断法の構築
Project/Area Number |
18591926
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉田 茂生 Fukuoka University, 筑紫病院, 講師 (50363370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60274528)
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40382337)
小添川 学 九州大学, 医学研究科, 助教 (60380614)
石橋 達朗 九州大学, 医学系研究科, 教授 (30150428)
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Keywords | ゲノム医科学 / 遺伝子診断 / 迅速診断 |
Research Abstract |
1.小口病は金箔様眼底を特徴とする先天停止性夜盲の一つで,常染色体劣性遺伝形式をとる。原因遺伝子としてこれまでSAGとGRK1が知られており,なかでもSAG遺伝子の926delA変異が日本人小口病の好発変異(創始者変異)である。今回,Real-timePCR法を用いてSAGの好発変異の迅速診断システムの構築を試みた。小口病患者の末梢血からDNAを抽出し,SAGのエクソン11内の変異好発部位を含む領域をライトサイクラー(ロシュ社)を用いてPCRにより増幅し,特異的蛍光プローブとのハイブリッドの融解曲線解析により,遺伝子型を同定した。本アッセイ系では各遺伝子型(926delAホモ,926delAヘテロおよびワイルドタイプ)は異なる融解ピーク温度によって明確に区別でき,ダイレクトシークエンスによる結果と一致した。1回の検査所要時間は約90分であった。本研究によりSAGの好発変異の迅速診断法を確立した。本法は正確,迅速で,小口病患者においてSAGやGRK1遺伝子の変異同定を加速する一助になると考えた。 2.色素失調症はX染色体優性の遺伝性疾患で,周辺無血管帯などの網膜血管異常や網膜色素上皮異常を合併する。白人では患者の約70〜80%にNF-κBシグナルに関与するNEMO遺伝子の変異が報告されており,その約9割がエクソン4-10の欠失であるが,日本人患者での遺伝的背景は明らかではない。今回,色素失調症の日本人母子例に遺伝子解析を行った。同意を得て末梢血からゲノムDNAを抽出し,multiplex PCR法を用いたNEMO遺伝子欠失の解析を行ったところ,母子ともにNEMO遺伝子のエクソン4から10の欠失を同定した。色素失調症の日本人母子例においてNEMO遺伝子異常を確認し,NF-κBシグナル伝達経路がヒト生理的網膜血管新生に関与していると考えた。
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