2007 Fiscal Year Annual Research Report
角膜上皮幹細胞ニッシェとしての細胞外マトリックス・テネイシンの機能解析
Project/Area Number |
18591930
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松田 彰 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (00312348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 守昭 動物繁殖研究所, 実験動物研究センター, 主任研究員 (60153277)
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Keywords | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 生体分子 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
SJS等の角膜上皮幹細胞疲弊症に対する眼表面再建術の際に摘出した組織から新鮮凍結組織切片を作成し、免疫組織学的にTNC分子の発現を検討した結果、TNCタンパクが結膜下に多量に沈着していることが判明した。TNC遺伝子のプロモーター解析のために、レポーターコンストラクトを作成して、角膜上皮を用いて遺伝子発現を検討したところ、創傷作成、機械的ストレスでTNC遺伝子の誘導がかかることが判明した。TNCはFNコートの培養に加えた場合、細胞の形態に変化を生じる(Focal adhesion kinaseの発現の低下)が、細胞増殖能には変化がないことが、判明した。また、角膜上皮テネイシンノックアウトマウスの角膜上皮、コンジェニックマウスの角膜上皮から初代培養細胞を作成し、羊膜上に培養することで、形態学的な差異およびβカテニンタンパクの発現を免疫組織染色で検討したところ、テネイシンノックアウトマウスから作成した上皮細胞にはβカテニンの局在に極性が見られなかったのに対し、コンジェニックなワイルドタイプマウスでは上皮下にTNCタンパクの沈着が見られるとともにβカテニンが基底膜側に偏在して発現がみられ、細胞極性の形成に貢献していることが示唆された。以上の結果から、角膜上皮に強いストレスがかかった際のレスキュー分子としてTNCが発現し、TNC分子自体は上皮細胞の極性形成を通じて、上皮細胞の恒常性維持に貢献していると考えられた。
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