2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜におけるメラトニンの神経発生制御とその分子機構の解明
Project/Area Number |
18591936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤枝 弘樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70280972)
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Keywords | 網膜 / 錐体細胞 / S-opsin / M-opsin / cone arrestin / RORα / Staggerer / 転写因子 |
Research Abstract |
オーファン受容体RORαは小脳プルキンエ細胞の分化や視交叉上核の概日リズム形成に関わり、また松果体ホルモンメラトニンの核内受容体候補としても注目されている。本年度はこのRORαに焦点をあて、網膜内の局在と発生期に果たす役割を検討した。 1.網膜におけるRORαの細胞局在 ラット成熟網膜において抗RORα抗体と各種細胞マーカーを用いた二重蛍光免疫染色をおこない、共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、RORα免疫反応は神経節細胞、アマクリン細胞、錐体双極細胞、錐体細胞の核に認められた。 2.RORα欠損による異常 RORα欠損マウス(Staggerer)の網膜では、錐体細胞のPNA染色性が減弱し、S-opsinおよびM-opsinの免疫反応低下がみられたが、錐体細胞の密度には変化は認められなかった。錐体細胞に特異的に発現する11遺伝子の発現量をReal-time RT-PCRにより定量した結果、Cipn1sw(S-opsin)、Opn1mw(M-opsin)、Arr3(cone arrestin)の発現がRORα欠損マウスで有意に低下し、Pde6c、Rxrg、Thrb2の発現は逆に上昇した。 3.RORαの標的遺伝子の探索 抗RORα抗体を用いたクロマチン免疫沈降法(ChIP)をおこなった結果、RORαがOpnlswのプロモーター領域に結合している所見が得られたが、Opn1mw、Arr3の制御領域への結合はみられなかった。Opn1swプロモーターへの結合は錐体細胞がRORαを発現する生後3日からみられ、生後6日をピークとしてその後減少し、生後3週には検出できなかった。以上の所見より、RORαは錐体細胞とその興奮伝達経路(錐体双極細胞、アマクリン細胞、神経節細胞)の機能に関与し、発生期には錐体細胞の分化および光情報伝達系タンパク質の発現を制御していることが示唆された。
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