Research Abstract |
[目的]アデノウイルス結膜炎の治療薬を開発する研究を行っているが,点眼薬の生体への影響を確認するために,実験モデルに対しての治療候補薬を点眼して検討した。[方法]白色家兎を用いて,点眼薬としてはシドフォビルのほかに,今までの研究で効果が確認されたザルシタビン,スタブジンおよびインターフェロンβの点眼薬を作成して,1%蒸留水溶液を対照として点眼スケジュールに従って,2週間点眼治療を行った。点眼後の結膜,眼瞼および涙器の臨床所見を観察した。これは海外のシドフォビル点眼臨床試験で問題となったとされる涙小管狭窄が,点眼後に生じるか否かの確認である。そのため,超音波Bモードによる涙小管径測定をTostらの方法に準じて,画像を解析して行った。また,点眼終了時に眼球および周囲組織を摘出し,病理組織学的検索を行った。[結果]シドフォビル投与群では,涙小管の狭窄や眼瞼,結膜の炎症所見が見られたが,涙小管の閉塞はなかった。ザルシタビン,スタブジンおよびインターフェロンβ群では軽度の眼瞼発赤以外には副作用と考えられる所見は見られなかった。[結論]以上の結果から,これらの点眼薬の中で,ザルシタビン,スタブジンなどはin vitro増殖抑制効果とあわせて考えると,今後安全な抗アデノウイルス点眼薬となる可能性が示唆された。
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