2008 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス眼感染症のウイルス学的病態解析に基づく新しい薬物治療の開発
Project/Area Number |
18591944
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
内尾 英一 Fukuoka University, 医学部, 教授 (70232840)
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Keywords | アデノウイルス / 抗ウイルス薬 / N-クロロタウリン / 急性結膜炎 |
Research Abstract |
[目的]アデノウイルス結膜炎は本邦では依然として公衆衛生学的に重要な伝染性疾患であるが,本年はN-chlorotaurine (C1-HN-CH2-CH2-SO3H, NCT)の抗アデノウイルス効果を検討した。NCTはタウリンの誘導体であり,ヒト白血球から炎症時に生成され,感染防御に関与していることが知られている。今回は急性結膜炎起炎性アデノウイルス血清型に対するin vitroの増殖抑制作用を検討した。[方法]A549細胞を使用し,アデノウイルス3,4,8,19および37方を用いた。NCTのCC_<50>(50%細胞致死濃度)を測定後に,種々の濃度のNCTをアデノウイルスに作用させ,1週間後のウイルスDNAをreal-time PCR法で測定した。[結果]NCTの50%有効濃度は血清型によって異なっていたが,49から256μMに分布する結果であった。NCTはいずれの血清型に対しても,濃度依存性の増殖抑制作用が認められたが,特にD種である8,19および37方に対する作用が高かった。B種の3型はややD種よりも有効であったが,E種の4型への作用はこれらよりも弱かった。[結論]以上の結果から,NCTはアデノウイルス,とりわけ結膜炎起炎性の血清型へは有効であり,粘膜への安全性が示唆されていることから,今後局所治療薬としての可能性が考えられた。
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Research Products
(10 results)