2006 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の病因に関する細胞生物学的研究-ステロイド緑内障からのアプローチ-
Project/Area Number |
18591945
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
久保田 敏昭 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 准教授 (30205140)
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Keywords | ステロイド / 緑内障 / 細胞外マトリックス / 線維柱帯 |
Research Abstract |
ステロイド緑内障が発症する原因は、線維柱帯細胞の機能不全をきたし、細胞外マトリックスが蓄積することにより房水流出障害が起こる可能性がある。ステロイド投与を受け、眼圧が上昇した慢性期の緑内障の線維柱帯には指紋様物質といわれる細胞外マトリックスが線維柱帯組織に沈着することが電子顕微鏡で観察されている。今年度の研究で、トリアムシノロンを硝子体内に注入した後にステロイド緑内障を発症した患者の線維柱帯組織を組織学的に検索し、線維柱帯組織にやはり、指紋様物質が沈着していることを観察した(Kubota T., et. al., J Glaucoma 2006)。これらの患者はトリアムシノロン投与後4ケ月と6ケ月で緑内障手術を行っており、従来のステロイド緑内障の報告にはない、早期のステロイド緑内障の病態を明らかにすることができた。 現在の緑内障治療のファーストチョイスであるラタノプロストの緑内障に対する効果をみる目的で、緑内障患者の3時間ごとに眼圧の変動を入院して調べた。ラタノプロストの治療を開始する前と、開始して3カ月後に検査入院を行い、眼圧日内変動を測定した。ラタノプロストは1日中の眼圧を低下させ、眼還流圧には影響を及ぼさないことがわかった(Ishibashi S., Kubota T., et. al., J Glaucoma 2006)。 動物実験はウサギのテノン嚢下にトリアムシノロンを注入し、前房水を採取した。前房水のMMP、TIMP濃度を測定したが、トリアムシノロン投与群と非投与群でこれらの蛋白濃度に違いはみられなかった。このことから眼球を摘出しての組織学的、組織化学的検索は行わなかった。
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Research Products
(6 results)