2007 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の病因に関する細胞生物学的研究-ステロイド緑内障からのアプローチ-
Project/Area Number |
18591945
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
久保田 敏昭 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 准教授 (30205140)
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Keywords | ステロイド / 緑内障 / 細胞外マトリックス / 線維柱帯 |
Research Abstract |
眼科領域で広く使用されるようになったステロイド薬のひとつであるトリアムシノロンを使用した硝子体手術群(391名)をトリアムシノロンを使用せずに行った硝子体手術群(383名)の手術結果,合併症を私たちの施設を含めた8施設で比較検討した。医師主導の多施設前向きコントロールスタデイである。トリアムシノロンを使用するかどうかはランダム化を行った。眼圧に関しては両者に有意な差はなかったが,眼圧降下薬の使用は,トリアムシノロン使用群の方が有意に多かった(Yamakiri K.,Kubota T., et. al.,Ophthalmology 2007)。臨床眼科学会のシンポジウム「ステロイド治療のアップデート新しい投与方法と副作用」で「ステロイド薬による眼圧上昇」という演題で講演を行い,ステロイドレスポンダーの特徴,ステロイド緑内障の組織を組織化学,電子顕微鏡所見をまとめて,ステロイドで眼圧上昇が起こるのは,線維柱帯細胞の機能異常による細胞外マトリックスの線維柱帯の沈着であることを明らかにした(久保田敏昭,第61回日本臨床眼科学会2007)。血管新生緑内障の治療薬として使用され始めたベバシズマブの効果を検索するために,ベバシズマブ投与後の血管新生緑内障の手術で得られた線維柱帯を組織学的に検索している。ベバシズマブにより新生血管は完全には消失しないが,窓構造が減少するとの結果が得られている。また正常および緑内障の線維柱帯細胞のセルラインを入手し,細胞を培養することに成功している。今後,培養細胞を使用して薬剤の反応性や緑内障の発症原因を探る実験を行う予定である。
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Research Products
(8 results)