2008 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の病因に関する細胞生物学的研究-ステロイド緑内障からのアプローチ-
Project/Area Number |
18591945
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
久保田 敏昭 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 准教授 (30205140)
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Keywords | ステロイド / 緑内障 / 細胞外マトリックス / 線維柱帯 |
Research Abstract |
ステロイドレスポンダーの後ろ向き研究を行い、ステロイドレスポンダーには近視が多く、点眼では点眼側のみが、内服では両眼の眼圧が上昇する。多くは投与から5ヶ月以内に眼圧が上昇するが、2年以上の経過で眼圧が上昇した例もあった(小島、久保田ら.臨床眼科2008)。トリアムシノロンアセトニドを使用した硝子体手術についてトリアムシノロン使用による効果と合併症について多施設前向きケースコントロールスタデイを行い、1年後の成績を報告した(Yamakiri K., Kubota T., et al. Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol2008)。1年後の成績でトリアムシノロンを使用した群と使用しなかった群で、眼圧上昇、緑内障手術が必要な確率に有意差はなかった。ステロイド緑内障の線維柱帯の免疫染色を行い、ヘパラン硫酸、ファイブロネクチン、IV型コラーゲンが線維柱帯に増加していた。ミオシリンは増加していなかった。ステロイド緑内障での細胞外マトリックスの増加は原発開放隅角緑内障とはタイプが異なることが明らかになった(Tawara A., Kubota T., et al. Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol2008)。緑内障では眼圧測定が最も重要な検査であるが、その測定誤差について、角膜の影響が存在すること、および測定眼による誤差が存在することを明らかにした(Harada Y., Kubota T., et al. J Glaucoma 2008;Kubota T., et al. Eur J Ophthalmol2008)。血管新生緑内障のあたらしい治療である抗VEGF抗体(ベバシズマブ)硝子体内注射を行い、この治療が新生血管の退縮に有効であり、手術のアジュバントとしても使用できることを示した(Kubota T., et al. Jpn J Ophthaomol2008)。手術で採取した線維中帯組織を観察し、ベバシズマブを注射しても線維柱帯の血管は消失しなことがわかった。新生血管の特徴である窓構造は血管内皮細胞に認めず、このことがベバシズマブの臨床効果と関係があることを報告した(Kubota T., et al. Brit J Ophthalmol, in press)。
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Research Products
(13 results)