2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経堤症治療に向けたES細胞由来の神経堤細胞の分化機構の解析
Project/Area Number |
18591952
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
本橋 力 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 助教 (40334932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30205108)
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Keywords | 神経堤細胞 / ES細胞 / 転写因子Sox10 / 蛍光タンパク質 / セルソーター / 神経堤症 |
Research Abstract |
本研究は、「神経堤症の治療をめざして、ES細胞から誘導した神経堤細胞を用いて、その移動機構や分化機構を解明するもの」である。平成18年度においては、ES細胞から誘導した神経堤細胞を純化する目的で、神経堤細胞の発生初期から発現する転写因子Sox10遺伝子のゲノムの下流に、蛍光タンパク質(GFP)を相同組み換えによって導入した遺伝子改変ES細胞を作成し、Sox10陽性(GFP陽性)を指標にセルソーターを用いてES細胞由来の神経堤細胞を純化する事に成功した。本年度においては、純化したES細胞由来の神経堤細胞の生体での挙動を調べる目的で移植実験を行った。ニワトリ胚に移植し移動能を調べたところ、生体内の神経堤細胞と同様の移動能を有していることが観察された。器官培養したマウス胎仔腸管にES細胞由来の神経堤細胞を移植したところ、一部に神経系の細胞に分化しているものも観察された。また、樹立したES細胞を用いて神経堤細胞への分化過程の解析も行った。Sox10、Kitの発現を分化過程に沿って調べたところ、分化してくる神経堤細胞にはSox10+/Kit-、Sox10+/Kit+が存在し、両方とも多分化能を有しているが、前者の方がより未熟な神経堤細胞であることが見いだされた。 本年度においては、樹立したES細胞を用いて遺伝子改変マウスの作成にも成功した。このマウスは、Sox10陽性(GFP陽性)を指標に生体での神経堤細胞の挙動が観察できるのみならず、生体から神経堤細胞を単離して、その分化能等を詳細に解析することが可能である。現在まで、このマウスのGFP陽性細胞の分布が、既に報告されている神経堤細胞の生体内での分布と同様であることを確認した。また、このマウスを詳細に解析すると、皮膚に神経堤細胞様の細胞が存在していることを新たに見いだした。現在、さらに解析を行っている。
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