2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎芽腫に関わる遺伝子異常の特性解明と遺伝子サイレンシングに関する研究
Project/Area Number |
18591954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
草深 竹志 日本大学, 医学部, 教授 (70263267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 正洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60165272)
米田 光宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30372618)
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Keywords | 遺伝子 / 腎芽腫 / β-カテニン / 神経芽腫 / MYCN |
Research Abstract |
腎細胞株である胎児性腎から樹立されたHEK293細胞に対して、β-カテニン発現プラスミドを作成後、細胞導入を行ないstableな細胞株の選択を試みた。 まず、β-カテニンに関しては正常(WT : wild type)ならびに各種のβ-カテニン変異の配列(codon34、41、45にそれぞれ点突然変異を持つもの、さらにcdon45の欠失変異、およびexon3の領域全体を欠失するinterstitial deletion(Δex3)の5種類)に関して、対応するcDNAをpUDH10.3に組み込み発現ベクターを作製した。pUDH10.3はhCMVとtet-responsive elementにより転写制御が行なわれるため、pTet-offベクター(無処理の状態でtet-presponsive transcriptional activatorを発現し、doxycycline : DOXで処理をするとその発現が抑制される)を同時に作用させることにより、組み込んだcDNAの発現が調節できる。この機構を利用するため、β-カテニンを組み込んだpUDH10.3はpTet-offベクターと共に、HEK29細胞に導入した。 各々のベクターにおいて複数の導入細胞クローンを選択して、外来性のβ-カテニンの発現と、DOX処理による発現低下を示すか否かをrealtime RT-PCRを用いたmRNAのレベルで検討した。その結果、正常のWT、さらにcodon45に点突然変位を有するもの(P45)、またΔex3の3種類のクローンにおいて、導入した外来性のβ-カテニン発現が導入を施さないコントロール細胞に比較して400〜1000倍の発現を示すこと、さらにこれらの亢進した発現はDOXの処理によりコントロールの2〜7倍までの低下を示すことが確認された。すなわちこの段階で、3種のβ-カテニン配列については計画通りの、DOXにて発現が制御されるstableな導入細胞が樹立された。 さらに、HEK293における内因性に発現している正常のβ-カテニンについても検討したところ、内因性に発現するmRMAレベルのβ-カテニン量は、外来性のものとほぼ同じオーダーの発現量を示していることが確認された。 現在、確立された3種のβ-カテニン導入HEK293細胞において、変異β-カテニンが転写活性化の亢進や、細胞増殖に対してpositiveに働いているか否かを検討することとしその作業を開始している。また、遺伝子サイレンスングの応用として、神経芽腫細胞株において遺伝子増幅と発現亢進がみられるMYCNに対するRAN干渉を行ない、その抗腫瘍効果についても検討を行っている。
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