2006 Fiscal Year Annual Research Report
次世代肝疾患治療の確立にむけた3次元的肝ティシュエンジニアリング法の開発
Project/Area Number |
18591957
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大橋 一夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40364062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 雅之 東京女子医科大学, 先端生命医科学研究所, 助教授 (40267117)
|
Keywords | 組織工学 / 肝疾患 / 再生医療 / 肝細胞移植 / 肝不全 |
Research Abstract |
平成18年度において、マウスおよびラットの実験を行い、肝細胞から構成される肝細胞シートを貼布移植することにより肝ティッシュエンジニアリングの技術を確立した。研究の具体的内容について以下に列記する。 (1)組織移植を目的とした血管網構築のためのデバイス作製 ポリエチレンテレフテレートのメッシュ膜をもちいて、袋状のバッグを作製し、その中に血管誘導因子であるbFGFをアガロースに溶解して充填することにより、皮下に挿入可能な血管網構築のためのデバイスを作製した。 (2)肝細胞シートの作製 マウスならびにラット成熟個体から、肝細胞を分離・精製し、温度応答性高分子を固定化した培養皿にて培養し、コンフルエントに成った段階で、培養温度を25℃に下げることにより、肝細胞シートを回収する技術を確立した。 (3)肝細胞シート移植による肝ティッシュエンジニアリング 項目(1)にて誘導した血管網を誘導した皮下空間に項目(2)で回収した肝細胞シートを貼布形式にて移植する。手技的観点から改良を重ね、皮下において100日以上の長期間安定して生着することが可能な肝ティッシュエンジニアリングの手技を確立した。病理学的観察からは、移植した2次元的細胞シートが皮下において生着することにより、2次元的な肝組織を形成すること、ならびに、組織構成細胞は、成熟形態を保持した肝細胞であることを確認した。機能的評価として、作製肝組織は、自己肝と同じく高いレベルでの肝特異的蛋白発現(アンチトリプシンやアルブミン)を行うことを確認した。さらに、肝臓としての重要な機能の一つである代謝機能について、レリピエントマウスにフェノバルビタール等の薬剤を投与したところ、薬剤に対応した代謝系酵素を誘導する機能を発揮することも確認した。 以上のことから、蛋白発現および代謝機能を良好に発揮する肝組織を作製し、長期間安定して機能を発揮させることが可能な新しい肝ティッシュエンジニアリングの技術を確立した。
|
Research Products
(7 results)