2007 Fiscal Year Annual Research Report
培養モデルを用いた小児癌に対するサリドマイドの作用機序の検討
Project/Area Number |
18591958
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
藤田 恵子 Saitama Medical University, 医学部, 准教授 (80173425)
|
Keywords | 培養 / サリドマイド / 小児癌 / 血管新生 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
サリドマイドは、多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍、ならびに、前立腺癌・肝癌などの固形腫瘍の治療に用いられ、その抗腫瘍作用が注目されている。サリドマイドの抗腫瘍作用は、その血管新生抑制作用に基づくと言われているが、作用機序は依然として不明である。サリドマイドを抗腫瘍治療薬として承認するためには、臨床試験の実施と共に、サリドマイドがなぜ腫瘍に対し効果があるのか、その基礎的な作用機序を明らかにすることが必須である。平成18年度、申請者は三次元血管新生培養モデルにおいてサリドマイドを培養液に添加すると、血管新生は最初から抑制されるのではなく、一旦毛細血管が新生され、次いでアポトーシスにより血管退縮が起こることを報告した。そこで、平成19年度は『サリドマイドの抗腫瘍作用のメカニズムを明らかにする』研究の一環として、小児癌細胞(肝芽腫細胞HUH-6 Clone-5)培養モデルを用いて、サリドマイドの腫瘍細胞増殖におよぼす影響について、形態学的ならびに分子生物学的に調べた。 実験の結果、サリドマイドは培養肝芽腫細胞に直接作用し、腫瘍細胞の増殖抑制およびアポトーシスを誘導することがわかった。さらに、DNAマイクロアレイ法を用いて遺伝子解析を行い、サリドマイド添加実験群とコントロール群を比較分析した結果、サリドマイドの抗腫瘍作用は、活性酸素種(ROS)によりDNAが損傷され、Bmp、Wnt、Aktを介するアポトーシス誘導カスケードを経て、アポトーシス発現が増強されることが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)