Research Abstract |
研究代表者は,炎症性サイトカイン等のmediatorを吸着,除去できるカラムを開発した。このカラムは多孔質セルロース系吸着体を充填した特異的にサイトカインを吸着できるカラムである。昨年度の検討により,新しく開発したカラムはラットを用いたエンドトキシンショックモデルにおいて生存率を改善し,サイトカインの上昇を抑制し,炎症反応を抑制することが判明した。そこで今年度は,臨床応用を考慮すべく,カラムの容量を決定し,そのほかの動物実験モデルで検討を重ねることとした。 <実験内容とその結果> 体重350-400gの雄ラットを用いたエンドトキシンを静注して作成するエンドトキシンショックモデルに,新しいカラムの含有量を通常の1/4,1/2に減量して,新しいカラムの効果を検討した。評価法としては,前回と同様,8時間の時点での生存率,循環動態,呼吸状態および,血中サイトカイン濃度とした。その結果,生存率は,8時間の時点で対照群が8%に対し,1/4量群で42%,1/2量群で58%,通常量で83%であり,サイトカイン吸着カラム治療の3群が,Group Cより有意に生存率が高かつた。また,炎症性サイトカイン(TNF-alpha,IL-6)濃度の変化に関しても,容量依存的に産生を抑制することが判明した。 さらに,そのほかの実験モデルで検討を試みたが,ラットの腹膜炎による敗血症性ショックモデルが作成できず,更なる検討課題となった。 <結語>新しく開発したサイトカイン吸着カラムは,エンドトキシンショシクモデルにおいて充填量の量依存的に生存率を改善し,抗炎症効果を認めることを確認した。
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