2007 Fiscal Year Annual Research Report
ICU入室患者に対するせん妄の新しい診断法の有用性と危険因子
Project/Area Number |
18591983
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鶴田 良介 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 講師 (30263768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 剛志 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60034972)
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Keywords | せん妄 / 人工呼吸 / 集中治療 / 多臓器不全 / 抗コリン活性 / 炎症 / 鎮静薬 / CAM-ICU |
Research Abstract |
[目的]せん妄発症の関連因子を解明する。[方法]ICUに3日以上入室予定の成人患者のうち、意識レベルの回復が見込めない、入室以前に精神・神経筋疾患を有していた症例を除き、入室24時間以内あるいは抜管2時間前から5〜6日間連続でせん妄評価と採血を行った。[結果]挿管患者10人、非挿管患者17人がエントリーした。年齢はそれぞれ55±13、60±13歳であった。APACHEIIスコアは16±6、10±7、SOFAスコアは4±2、3±2と挿管患者の方が高く、ICU日数も16±10、10±5日と長い傾向にあった。感染症の合併が挿管患者6人(60%)に対し、非挿管患者2人(12%)であった。挿管患者の9人、非挿管患者の0人にせん妄が出現した。せん妄には重症度、多臓器不全、鎮静薬の使用、人工呼吸期間、感染症の合併が関わっていた。次に、26人の56検体を用いて血漿抗コリン活性(PAA)を測定した。せん妄発症時のPAAは非せん妄時に比べて高い傾向にあった。また、せん妄発症時のC反応性蛋白(CRP)は有意に高値を示した。PAAとCRPは弱い相関関係を示した。PAAの1.95 picomol atropine equivalent/mLserumをカットオフとし、PAA陽性、陰性に分類するとせん妄患者と非せん妄患者に差を認めた。[考察]感染症・炎症の指標であるCRPがサイトカインと呼応してせん妄を引き起こしているのか、CRP自体がPAAをもつ内因性ペプチドの候補の一つであるかは今後の研究の結果に期待する。[結語]せん妄は重症な病態の中枢神経系への表現型である可能性がある。(日本救急医学会雑誌18:356、2007)
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Research Products
(4 results)