2007 Fiscal Year Annual Research Report
気道上皮細胞増殖因子遺伝子導入による急性・慢性肺傷害治療にむけた基盤研究
Project/Area Number |
18591987
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
倉橋 清泰 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (50234539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 卓也 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (50251054)
鐘ケ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80251453)
山田 芳嗣 東京大学, 医学系研究科, 教授 (30166748)
馬場 靖子 横浜市立大学, 医学研究科, 助教 (80453041)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルス / 急性肺傷害 / 肺線維症 / 敗血症 / 上皮細胞増殖因子 / 肺保護 |
Research Abstract |
慢性肺傷害に対する治療法の検討において、ブレオマイシン連続皮下投与により肺線維症モデルを作製し、線維化が生じた後にKGF発現アデノウイルスベクターを気道内投与する治療効果の検討を行った。ブレオマイシンの投与は2回行うことにより8週間まで継続して線維症の状態を保つことが可能となった。未治療群に対して、KGFアデノウイルス投与群では、有意に肺の線維化を減らし、肺のエラスティシティーの低下を防いだ。結果として生存率も有意に向上させた。この効果は低容量(1.0x10^8PFU)のベクター投与でも認められたが、高容量(1.0x10^9PFU)においては更に顕著な生存率改善効果がみられた。一方、KGFを発現しないコントロールベクターでは、容量依存性に死亡率が増加することから、ベクター自体による障害の可能性が示唆された。 線維化を起こす前に治療を開始し、KGFをはじめとするgrowth factorや他の抗炎症作用を持つ薬剤に効果があるとの報告が数多くみられるが、これらは急性肺傷害治療もしくは繊維化の予防としての意義はあるものの、肺線維症の治療とは結論づけられない研究であった。今回我々の用いたモデルは繊維化が起こった後に治療を開始することから、本研究成果は「肺線維症の治療」としての臨床的な意義が高いと考えられる。 本研究の成果により、今後(1)KGFベクターによる線維化治療効果の機序の詳細な検討、(2)長期観察を含めた副作用等の検討、(3)炎症を減少させるウイルスベクターの開発、等を行い、臨床応用に向けた取組をすすめる礎が築かれたと考えられる。
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Research Products
(1 results)