2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳損傷における活性酸素の動態解明-gp91KOマウスを用いた基礎的検討-
Project/Area Number |
18591989
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
土肥 謙二 Showa University, 医学部, 講師 (20301509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 徹 昭和大学, 医学部, 教授 (40266086)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
養父 佐知子 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (00398695)
佐藤 和恵 昭和大学, 医学部, 客員教授 (90053941)
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Keywords | フリーラジカル / 神経外傷 / 酸化ストレス / 動物モデル / マウス / 遺伝子欠損 / gp91phox / NADPH |
Research Abstract |
【はじめに】脳における02-の産生源としてはシクロオキシゲナーゼ系、キサンチンオキシゲナーゼ系、NADPHオキシゲナーゼ系が知られている。本研究ではこの3つの産生源の中でNADPH oxidase enzymeを構成する5つのサブユニットの一つであるgp91phox(gp91)に注目し、gp91遺伝子欠損マウス(KOマウス)を用い頭部外傷におけるNADPH oxidase enzyme産生02-の役割について検討を行った。 【方法】Controlled Cortical Impactor(CCI)で頭部外傷を作製し、頭部外傷後における経時的なgp91phoxの発現と発現細胞についてwestern blottinng法と免疫組織学的手法を用いて検討した。次に野生種マウスとKOマウスを用いて頭部外傷モデルを作成してニトロチロシン(3-NT)の産生及び産生細胞について検討した。また、KOマウスにおける脳損傷抑制効果について検討した。 【結果】gp91は外傷後早期より外傷周囲の皮質に発現し、2日後がもっとも発現が強かった。細胞同定ではミクログリアへの発現が最も強かった。酸化ストレス関連物質である3NTは外傷後より外傷部位の周囲に認められた。その産生細胞はミクログリアが主体であった。一方、KOマウスではミクログリアにおける02-認められなかった。TTC染色を用いた外傷2日後における損傷面積の測定においてKOマウスでは脳損傷面積は有意に抑制されていた。 【考察】本検討で脳損傷後におけるgp91の発現と動態、さらにはgp91を介して産生される02-の脳損傷後の役割について明らかとなった。脳損傷後のスーパーオキシド産生源としてミクログリアのgp91が主たる産生源であることが証明された。ミクログリアにおけるgp91の発現を制御することが脳損傷の治療として極めて有用であると考えられた。
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