2006 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシンを用いたマウスモデルによるニッケルアレルギーの解析
Project/Area Number |
18591995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 康男 東北大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (50005039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 俊二 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (10241639)
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Keywords | 金属アレルギー / ニッケルアレルギー / 自然免疫 / ヒスタミン / IL-1 / lipopolysaccharide / T細胞 / マスト細胞 |
Research Abstract |
以下の研究成果をClinical and Experimental Allergyに投稿し受理された. 1.Lipopolysaccaride(LPS, endotoxin)は皮内注射と腹腔注射のいずれにおいてもFCAやH_2O_2よりもはるかに強力なアジュバント効果を示した.以下Ni+LPSにより成立したアレルギーをNi(+LPS)-Aと略す. 2.Ni(+LPS)-AはBALB/cマウス(Th2優位)よりもC57BL/6マウス(Th1優位)で強力であった. 3.Ni(+LPS)-AはTNF-KOマウスやヌード(T細胞欠損)マウスでもコントロールマウスと同程度であったが,C3H/HeJマウス(TLR4変異),マクロファージ枯渇マウス,IL-1-KOマウスでは微弱であった. 4.Ni(+LPS)-Aでは腫脹に平行して耳介ヒスタミン合成酵素(HDC)活性が増加した. 5.Ni(+LPS)-Aはマスト細胞欠損マウスではむしろ増強されたが,ヒスタミン合成酵素(HDC)を欠損するマウスでは僅かだった. 6.Ni-challenge時にLPSを同時投与しても腫脹反応が増強された. 7.LPSとの併用は他の金属(Cr, Co, Pd, Cu, Ag)に対するアレルギーの成立も促進した. 研究成果に関する考察と今後の研究方針 金属とLPSの併用により再現性の高い金属アレルギーのマウス・モデルを作製することに成功した.この結果は金属アレルギー発症の背景には感染自然免疫があること,また,非マスト細胞でのHDC誘導により産生されるヒスタミンが関与することを示唆する.さらに,抗原となる自己タンパクは,多くの金属において共通する可能性も示唆する.従来のT細胞を中心にした概念と抗原タンパクに関する概念を再吟味する必要があると思われる.今後は関与する細胞の同定,交叉反応,LPSの作用機序,ヒスタミンやIL-1の作用機序,金属イオンの濃度と抗原性との関係などを調べる.
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Research Products
(1 results)