2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯の発生、特に細胞分化と初期石灰化における基質蛋白の役割に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
18592002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内田 隆 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50150305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 峰朗 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80325183)
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Keywords | エナメル質形成 / エナメルタンパク / シースプロテイン / アメロブラスチン / セメント質形成 / セメント芽細胞 / マッラセ上皮遺残 / 上皮-間葉相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、歯牙硬組織に含まれる基質蛋白が、歯牙硬組織を形成する細胞の分化や基質の石灰化において担っている役割を解明することを目的とし、本年度は以下のような結果が得られた。 1.ラット切歯の分化期エナメル芽細胞と一部の歯髄細胞、象牙芽細胞で発現している、低分子量のシースプロテイン(アメロブラスチン)を、C末端側の特異抗体をリガンドとしたアフィニティー精製システムで単離し、N末端アミノ酸配列を決定して、その情報を元にクローニングを計画した。しかし、質量分析の結果、低分子量のシースプロテインを単離に成功していないことが示されたため、実験を中止した。 2.ラット臼歯歯根のセメント質形成初期過程におけるエナメルタンパクとセメント質基質蛋白の発現様相について、異常な分泌顆粒を形成して分泌を止める作用のあるモネンシンを投与した動物で検討した。その結果、ヘルトビッヒ上皮鞘とマッラセ上皮遺残のかなりの割合の細胞がシースプロテイン(アメロブラスチン)を発現し、これを歯根象牙質表面ではなく歯根膜側に分泌していること、歯根膜内のマッラセ上皮遺残と接触している間葉系細胞がセメント質基質蛋白(オステオポンチン)を発現し、この細胞は歯根象牙質表面に突起を伸ばし、この突起中にオスレオポンチンを含む分泌顆粒様構造が認められること、オステオポンチンの最初の発現は、シースプロテインを発現したヘルトビッヒ上皮鞘の細胞に接触している間葉細胞に認められることが明らかになった。以上の結果から、シースプロテインがセメント芽細胞の分化に関わっている可能性が強く示唆された。
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Research Products
(5 results)