2007 Fiscal Year Annual Research Report
心内膜炎病原因子候補,S.mutansのコラーゲンアドヘシン(Cnm)の機能解明
Project/Area Number |
18592010
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 康人 Tokyo Dental College, 歯学部, 助教 (80200848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (70085827)
|
Keywords | 遺伝子 / タンパク質 / 発現制御 / 細菌 / 感染症 / 細菌性心内膜 / mutans streptococci / WAP(Wall-anchoring protein) |
Research Abstract |
S.mutans Z1株からクローニングしたコラーゲンアドヘシンをコードする遺伝子cnmの保有についての網羅的検索結果は,この遺伝子が mutans streptococci で普遍的に保存されていないことを明らかにし,さらに,cnmが存在する領域についても多型があることを示唆していた.また,前年度にS.ratti 107P株よりクローニングしたcnmホモログには,S.mutansのCnmとコラーゲン結合領域(CBD)では高い相同性(75%超)を示しながらもCBDの下流に認められるアミノ酸残基の繰り返し配列(Bリピート領域)において,リピートユニットの長さや繰り返し回数に違いがみられた.このBリピート領域での違いと菌体の細胞外マトリックス(ECM)成分への結合活性の関連を調べる第一段階として,S.ratti 107P株および107P株と同様にcnmホモログの存在が確認されたS.ratti FA-1株を供試菌とし,ELISA法による菌体のECM成分(コラーゲン,ラミニン,フィプロネクチン)への結合活性試験を,S.mutans Z1株をポジティブコントロール,05AO2株(Z1株を親株とするcnmの欠失変異株)をネガティブコントロールとして行った.この結果,S.mutans 107P株およびFA-1株の菌体はともにコラーゲンに対してはS.mutans Z1株と同程度によく結合するが,ラミニンおよびフィプロネクチンには結合活性を示さなかった.このことは,S.mutans Z1株とS.ratti 107P株菌体のECM成分への結合活性に,コラーゲンアドヘシンのBリピート領域の違いが影響をおよぼしている可能性を示していた.さらに,S.ratti 107P株およびFA-1株とcnmの欠失変異株である05AO2株がcold agglutination現象を起こさないことから,この現象に対するBリピート領域の関与も示唆された.
|