2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原菌のタンパク分解系と鉄獲得機構の相互関係の研究
Project/Area Number |
18592018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
藤村 節夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (40045505)
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Keywords | 歯周病原菌 / 鉄獲得機構 / シデロフォア / タンパク分解酵素 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
先ず歯周病原菌の1つであるPrevotella nigrescens ATCC33563株を嫌気培養し菌体の超音波処理と高速遠心でエンベロープを調製した.エンベロープをオクチルピラノシドで可溶化しその遠心上清をエンベロープ抽出物とした. 1.タンパク分解酵素(プロテアーゼ)の探索 培養上清,細胞抽出液(超音波処理上清),エンベロープ抽出液には有意のタンパク分解活性は観察されず今後の課題として探索を継続する. 2.P.nigrescens ATCC33563のヘム要求性 菌を鉄欠乏培地での増殖はほぼ完全に阻害され,これにヘミンまたはヘモグロビンを加えると対照の鉄欠乏非操作培地での増殖レベルに回復しヘム要求性であることが確認された. 3.エンベロープとヘムタンパクの結合 エンベロープと4種のヘムタンパクとの結合がみられその結合の強さの順はヘモグロビン,ミオグロビン,チトクロームc,カタラーゼであった.またヘモグロビンは全菌体とも結合するが,outer membraneとはほとんど結合しなかった.この結合能は70℃,15分加熱しても低下はなかった.ヘモグロビンの結合には強いpH依存性がありその至適pHは4.5〜5.0で中性pH以上での結合はほとんどなかった.さらに結合したヘモグロビンは高pHでエンベロープから解離することが判明した.1分間に1mgのエンベロープが結合するヘモグロビンの最大量は600pmol/lであった.ヘモグロビンとエンベロープの解離定数(Kd)は210pmol/lであった. 4.ヘモグロビン結合タンパク分離の試み 現在エンベロープのオクチルピラノシド抽出物を出発材料として,イオン交換クロマトグラフィークロマトグラフィー,ヘモグロビンアガーロースを用いたアフィニティクロマトグラフィーでヘモグロビン結合タンパクの分離精製作業を行っており継続年度も続行することにしている.
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