2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜由来線維芽細胞様細胞の血管平滑筋細胞様超越分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
18592026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石崎 明 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (20356439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 正人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30236757)
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Keywords | 歯根膜 / 血管平滑筋細胞 / 超越分化 / 血管様チューブ構造物 |
Research Abstract |
歯根膜は顎骨と歯根との間に存在する線維性結合組織であり、線維芽細胞を含む多種類の細胞群で構成されている。しかし、これらの細胞が歯根膜中の各細胞の共通の前駆細胞から分化していくのか、それともそれぞれ細胞に分化することを運命づけられた前駆細胞が存在して、それぞれの成熟した細胞に分化していくのかはいまだ明らかになっていない。そこで、本研究ではクラウン系医用ミニブタ歯根膜から採取した歯根膜由来細胞にヒトTERT遺伝子発現プラスミド(pC1-neohTERT)を導入し、樹立された細胞株を用いてこれらの細胞の多分化能力とその分子メカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めた。 hTERTを導入しクローン化されたミニブタ歯根膜由来線維芽細胞様細胞4種(TesPDL1-4)のうち、TesPDL3細胞が示す多分化能力の詳細について検討した。TesPDL3細胞は石灰化誘導培地にて培養すると、骨芽細胞あるいはセメント芽細胞様の細胞間基質石灰化能力をもつことが明らかとなった。また、TesPDL3細胞は血管内皮細胞マーカーであるCD31、VE-cadherin、及びvWF因子を発現すること、同時に血管平滑筋細胞マーカーであるh1-CalponinやSmoothelinを発現することが判明した。加えて、この細胞を3次元培養すると、線維芽細胞増殖因子(FGF)依存的に血管様チューブ構造物を形成することが判明した。 以上の結果から、歯根膜中には多分化能力をもつ細胞が存在すること、また、これらの細胞が骨芽細胞やセメント芽細胞の他に、血管内皮細胞や血管平滑筋細胞の起源となる可能性が示唆された。
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