2006 Fiscal Year Annual Research Report
硬組織石灰化異常に関連した変異アルカリホスファターゼの分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
18592027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10122681)
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Keywords | 石灰化 / アルカリホスファターゼ / 低ホスファターゼ症 / ジスルフィド結合 / 骨代謝異常症 / 病気発症メカニズム |
Research Abstract |
(1)重症の低ホスファターゼ症で報告されたミスセンス変異(433番目のアルギニンがシステインに置換した例、R433C)を有する組織非特異型酵素(tissue-nonspecific alkaline phosphatase, TNSALP)の解析を行ない、論文に発表した(研究発表1)。 変異酵素R433CをコードするcDNAを部位特異的突然変異法を用いて作製した。次に哺乳動物細胞への遺伝子導入により発現した変異酵素の細胞生物学的な検討を行った。特に、以前から用いていたCOS-1細胞での一過性の発現系に加えて、Tet-On CHO細胞を用いた条件発現系を用いることにより、詳細な実験が可能となった。その結果、野生型酵素とは異なり、変異型酵素ではサブユニット(433番目のシステイン)間にジスルフィド結合が形成されることが明らかになった。また、この変異酵素は野生型の酵素とほぼ同じ速度で細胞表面に運ばれ、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカーで膜に結合することが明らかとなった。このことは筆者の研究室でこれまで解析された数種の変異酵素が小胞体で滞留し、最終的に分解されて細胞表面への発現が阻害されることと著しい対照を示した。しかし、R433CはトリプシンやプロテイナーゼKに対する感受性の比較検討から野生型とは異なった立体構造を取っており、細胞表面に局在するにも係らずジスルフィド結合による活性部位の構造変化により触媒能が強く阻害され、そのことが原因で本変異を有する患者は低ホスファターゼ症を発症すると推測された。 (2)学部内及び他大学との共同研究 2-1 癌の骨転移やステロイドホルモン投与における骨の微細構造の変化を解析する過程で骨芽細胞の動態を明らかにした(研究発表2,4)。 2-2 亜鉛に特異的な輸送タンパク質を欠損させた細胞を用いてTNSALPの発現実験を行い(亜鉛は本酵素の必須の金属である)、亜鉛欠乏により酵素の細胞表面への輸送が阻害されることを明らかにした(研究発表3)
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Research Products
(4 results)