2007 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体PPAR阻害による扁平上皮癌でのアノイキス誘導とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
18592028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 孝一郎 Osaka University, 歯学研究科, 准教授 (90263467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上崎 善規 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (40116017)
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Keywords | 核内受容体 / PPAR / 扁平上皮癌 / アノイキス / 浸潤 / エストロゲン / 生活習慣病 |
Research Abstract |
本研究はPeroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)をはじめとする核内受容体の働きを阻害することにより、癌細胞に接着抑制によって引き起こされるアポトーシス「アノイキス」を誘発させ、それによって癌の増殖・浸潤・転移を抑制することを目的としたものである。本年度の研究から、PPAR以外の重要な核内受容体であるエストロゲン受容体が扁平上皮癌にも発現しており、それを阻害することによってアノイキスを誘発させ、その結果、癌細胞の増殖・浸潤を抑制できることを確認した。またその作用メカニズムにFocal Adhesion Kinase (FAK)の活性化を阻害するという共通のメカニズムが存在することも明らかにした。これらの結果は、扁平上皮癌に対する薬物療法を考える上で重要な知見となるものと考えられる。 さらに我々は、核内受容体に結合してその作用を撹乱する「内分泌撹乱化学物質」についても研究を行い、洗剤、プラスティックの可塑剤、レジンの製造原料に多用されているある種の内分泌撹乱化学物質が、脂肪細胞の分化と脂肪蓄積に影響を与えることを見出した。脂肪細胞は様々な生理活性物質であるアディポカインを産生し、生活習慣病の発症に密接に関わっていることが知られている機能細胞である。我々の知見は、内分泌撹乱物質が脂肪肝や動脈硬化などの生活習慣病の発症、およびその進展に密接に関わっている可能性を示しており、今後、より詳細な検討を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)