2007 Fiscal Year Annual Research Report
顔面口腔領域での難治性疼痛発症・維持における一次求心性線維の果たす役割について
Project/Area Number |
18592030
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
米原 典史 Ohu University, 薬学部, 教授 (70124534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
敦 哲輝 大阪大学, 医学研究科, 准教授 (50126570)
竹村 元秀 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (70192169)
杉生 真一 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90397688)
高田 芳伸 奥羽大学, 薬学部, 教授 (40119590)
阿部 賢志 奥羽大学, 薬学部, 講師 (60405991)
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Keywords | ニューロパシー / グルタミン酸 / グルタミン酸受容体 / 一酸化窒素 / 下歯槽神経 / マイクロダイアリシス / 疼痛行動 / cFos |
Research Abstract |
グルタミン酸は一次求心性線維の重要な興奮性シナプス伝達物質である。グルタミン酸受容体には、サブタイプが存在し、それぞれのサブタイプは複数のサブユニットで構成されている。本研究では難治性疼痛発症・維持における一次求心性線維の果たす役割について検討するため、難治性疼痛発症モデルを作成し、痛覚情報伝導路でのグルタミン酸ならびにその受容体の動態を調べた。難治性疼痛発症モデル動物の作成:下歯槽神経をクロミック製縫合糸で結紮し口腔領域に神経因性疼痛(ニューロパシー)を発症する動物を作成した。行動薬理学的検討:ニューロパシーは、von Freyフィラメントにより検討した。イオンチャネル型グルタミン酸受容体拮抗薬および一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬によりニューロパシーは抑制された。生化学的検討:一次求心性線維中枢端(痛覚伝導路第一次中継核:三叉神経脊髄路核尾側亜核浅層領域)からのグルタミン酸(Glu)および一酸化窒素(NO)放出量の変動をマイクロダイアリシス法により測定した。口腔領域への侵害刺激(歯髄電気刺激、口唇へのカプサイシン投与)はGluおよびNO放出量を有意に増加させた。侵害刺激に伴うGluとNOの放出量増加は、正常動物に比べニューロパシー発症動物で有意に増加した。組織化学的検討:NOSおよびcFos抗体を用い免疫組織化学的に、三叉神経脊髄路核尾側亜核でのNOSとcFosタンパク質の量的変動を検討した。ニューロパシー発症動物では正常動物に比べ、NOS、cFosを含む神経細胞の数が著明に増加していた。 これらの結果より次のことが明らかになった。 ●グルタミン酸は、痛覚伝導路第一次中継核で痛覚情報伝達物質として働いている。 ●グルタミン酸は、ニューロパシーの発症に重要な役割をはたしている。 ●NOは、グルタミン酸受容体の活性化に伴うニューロパシーの発症に深く関与している。
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