2006 Fiscal Year Annual Research Report
関葉系幹細胞の分化系列を制御する遺伝子ネットワークの同定
Project/Area Number |
18592035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 健 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (50224861)
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Keywords | 概日リズム / DEC2 / ノックアウトマウス / 変異マウス |
Research Abstract |
間葉系幹細胞は、多分化能、未分化能の維持、自己複製能、の3つの大きな特徴を持っている。これらの性質の維持に必要な遺伝子を明らかにするために以下の実験を行った。骨/脂肪/軟骨へとそれぞれ分化誘導を4週間行った間葉系幹細胞および線維芽細胞からRNAを抽出しDNAマイクロアレイ解析を行った。まず、未分化の間葉系幹細胞で発現が高い転写因子に着目したところ、9個の遺伝子が抽出された。これらの遺伝子の発現について調べたところ、分化誘導後24時間以内に大きく低下することが明らかになった。次に、これらに対するsiRNAを作製して間葉系幹細胞に導入し、特異的なノックダウンを行ったところ、多数の標的遺伝子の発現の低下あるいは上昇が認められた。このことから、これらの転写因子が未分化間葉系幹細胞の特徴的な遺伝子発現に大きく関与していることが明らかになった。また、これらの転写因子のいくつかのノックダウンは、間葉系幹細胞の増殖を抑制した。同様に骨分化時に特異的に発現が上昇する10個の転写因子を抽出し、RNA干渉法によるノックダウンの実験を行ったところ、骨分化マーカーの発現の低下が認められた。これらの結果から、間葉系幹細胞では互いに異なる複数の転写因子が、自己複製能(増殖能)、多分化能、未分化能の維持にそれぞれ協同して関係し、その性質を発揮する際に重要な働きを担っていることが明らかになった。また、分化誘導時には、これらの未分化間葉系幹細胞特異的遺伝子の発現抑制と同時にそれぞれ特異的な転写因子の発現上昇が起こると考えられる。
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