2007 Fiscal Year Annual Research Report
関葉系幹細胞の分化系列を制御する遺伝子ネットワークの同定
Project/Area Number |
18592035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 健 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50224861)
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Keywords | 関葉系幹細胞 / 分化誘導 / 遺伝子発現制御 / マイクロアレイ / 再生医療 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞の機能の維持に必要な遺伝子を明らかにするために、幹細胞特異的遺伝子の探索を行った。以前のわれわれのDNAマイクロアレイデータの再解析によって、線維芽細胞に比べて間葉系幹細胞で発現が2倍以上高い遺伝子が約180個同定された。これらの遺伝子の発現レベルを複数の細胞株でRT-PCR法によって調べたところ、約30個の遺伝子が確かに間葉系幹細胞で発現が高いことが確認された。さらに腸骨由来、大腿骨由来、頸骨由来、顎骨由来の4種類の由来の間葉系幹細胞では、LIF, IGF1, PRG1, MGP, BMP4, CTGF, KCTD12, IGFBP7, DYNClI1の発現が共通して高いことが確認された。また、これらの遺伝子は、細胞の継代回数や患者の年齢にあまり関係なく高いレベルが維持されていることも明らかになった。次に、間葉系幹細胞の骨分化、軟骨分化、脂肪分化の3方向の分化のいずれによっても発現が低下する遺伝子を、転写因子に絞って探索した。その結果、向定された10個の遺伝子のうちの一つであるGATA6は、siRNAの導入によって細胞増殖能の低下と各種のインテグリン遺伝子の発現の低下が認められた。いくつかのインテグリン遺伝子にはGATA6結合サイトの配列が同定されたので、ChIPアッセイによって検討したところ、実際に複数の場所にGATA6が細胞内で結合することが明らかになった。このように間葉系幹細胞では、その分化系列を支配する転写因子ネットワークによってその機能が維持されていると結論された。
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