2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18592041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原田 秀逸 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60128452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80353936)
中山 歩 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (10398290)
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Keywords | 軟口蓋 / 大錐体神経 / 鼓索神経 / 味蕾 / 味覚感受性 / 分化 / マーカー分子 / マウス |
Research Abstract |
軟口蓋味蕾を支配する大錐体神経は、ラットおよびハムスターでは甘味に対して特異的に大きな応答性を示すが、マウスでは苦味に対して高い感受性と大きな応答性を持つことが明らかになった。3種の齧歯類(マウス、ラット、ハムスター)について、大錐体神経と鼓索神経の四基本味刺激に対する応答性を比較した結果、それぞれの種の間で大錐体神経応答には有意の種特異性があるが、鼓索神経応答には大きな差が認められないことが分かった。また、甘味および苦味のtransductionに関与するα-gustducinをノックアウトしたマウスの大錐体神経と鼓索神経からの味覚応答を調べた結果、鼓索神経では甘味応答が、大錐体神経では甘味および苦味応答の大部分が消失することが明らかになった。 軟口蓋の味蕾は、出生時口腔内の他の部位に先駆けて成熟しているが、さらに、胎生期マウス胚(C57BL/6J)の味蕾の基底細胞のマーカー分子であるShh、Prox1およびMash1の発現を解析した結果、軟口蓋領域では、口蓋突起が融合する前の胎生14.5日からShhとProx1が共発現する味蕾基底細胞様の細胞がスポット状に分布していることが明らかになった。一方、舌では、舌の発生過程で茸状乳頭原基に発現するShhが茸状乳頭の分布パターンの形成に重要であることが報告されていたが、胎生12.5日で、ShhはProx1と共発現しており味蕾の基底細胞の特徴を示す細胞の分化が示唆された。また、Mash1の発現の開始も舌の方が早く、軟口蓋領域の胎生15.5日に対して茸状乳頭領域では胎生14.5日から発現することが明らかになった。これらの結果から、軟口蓋の味蕾は、胎生15.5日までは茸状乳頭の味蕾よりも発生が遅れているが、その後、急速に分化が進み、出生時までに茸状乳頭の味蕾よりも成熟することが明らかになった。
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