2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内細胞の生存・再生に関わる唾液ヒスタチンとToll様受容体シグナルの解明
Project/Area Number |
18592051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
今村 泰弘 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 佳久 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80367523)
王 宝禮 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Keywords | ヒスタチン / 唾液タンパク質 / 熱ショックタンパク質 / 相互作用 |
Research Abstract |
歯周疾患の原因には、歯周病原菌の歯と軟組織への付着、・歯周病原菌由来毒素LPSによる歯周組織破壊や歯槽骨吸収などがある。これらの現象は、様々な宿主細胞間の複雑な相互作用により惹起される。我々は、主な歯周組織、歯肉線維芽細胞(HGF)のLPSによる炎症性サイトカインの産生、及びプロテアーゼによる結合・硬組織の破壊機序について明らかにしてきた。 唾液蛋白質ヒスタチン(HTN)は、カンジダ菌などの抗菌作用やう蝕原因菌増殖抑制、歯周病原菌由来コラゲナーゼ阻害活性を有する。HIV感染者では、HTN発現量の顕著な減少が示唆されている。しかしながら、HTNの口腔内細胞に対する生理的意義や宿主由来因子との相互作用については、殆ど明らかにされていない。現在までに、HTNは細胞内新生蛋白質の立体構造形成、変性蛋白質のリフォールディングや凝集阻害、分解排除に至るまでの機能を有する熱ショック蛋白質(HSC70)のペプチド結合領域に結合すること、HTNはendocytosisによりHGF内に取込まれ、HTN/HSC70複合体が熱誘導により核内に移行することを明らかにした。ここで、熱ショック蛋白質はDNA複製・転写に関連することから、HTN/HSC70間相互作用が細胞増殖に与える影響について解析した。その結果、HTN存在下でHGFのDNA合成が優位に促進され、熱誘導により顕著であった。また、細胞の生存率は、HTN添加により促進された。これらの結果は、HTNが口腔内細胞の恒常維持に重要であることを示し、細胞修復・再生と関係があることを意味する。現在、HTN/HSC70間の生理的意義について、より詳細に解析している。一方、熱ショック蛋白質はToll様受容体のリガンドとなり、炎症性サイトカインなどを産生する。HTNと熱ショック蛋白質相互作用がこの現象にどの様な影響を及ぼすのか、現在検討している。
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