2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ca^<2+>透過性陽イオンチャネル(TRP)による破骨細胞の分化制御機序の解明
Project/Area Number |
18592053
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡本 富士雄 Fukuoka Dental College, 歯学部, 講師 (60153938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (80177378)
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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Keywords | 破骨細胞分化誘導 / RAW264.7細胞 / TRPV2 / RANKL / 細胞内Ca^<2+>濃度 / NFATc1 |
Research Abstract |
本研究は,破骨細胞の分化誘導に必要な細胞内Ca^<2+>シグナル構築におけるCa^<2+>透過性陽イオンチャネル(TRP)の機能を明らかにすることを目的とする。本年度はTRPV2のCa^<2+>輸送機能および細胞内Ca^<2+>シグナル発生への関与を調べるとともに,重要な破骨細胞分化誘導因子である転写因子Nuclear Factor of Activated T-cells 1(NFATcl)の活性化との関連について検討した。その結果,以下の結果を得た。 1.破骨細胞前駆細胞であるRAW264.7細胞を分化誘導因子receptor activator of NF-κB ligand(RANKL)で刺激すると,刺激後24時間でTRPV2の発現が上昇した。一方,比較のため検討したC1-チャネル(CIC-3)の発現はRANKL刺激で変化しなかった。 2.RANKL刺激した細胞では,陽イオン電流の増大が認められた。この電流はTRPV阻害剤およびshRNAによるTRPV2の発現抑制により減衰した。また,RANKL刺激した細胞は,自発性の周期的な細胞内Ca^<2+>濃度上昇を生じた。しかし,その発生頻度はTRPV2の発現を抑制した細胞では低下した。 3.さらに,RANKL刺激による破骨細胞の形成とNFATc1の核内移行は,TRPV2の発現を抑制すると共に抑制された。 以上の結果から,破骨細胞前駆細胞に発現するTRPV2は,細胞外からのCa^<2+>流入経路として細胞内Ca^<2+>動員に係わる重要な機能分子であることが分かった。さらに,TRPV2は,カルシニューリンの活性化からNFATc1の核内移行に至る一連の経路を活性化し,破骨細胞分化を促進すると考えられた。これらの結果は,破骨細胞分化における新たな機能分子の関与を示唆するものであり,破骨細胞分化調節機序の全容を明らかにする上で,非常に意義深いと考えられる。
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Research Products
(4 results)