2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性上皮の腫瘍化に伴う骨内微小環境制御機構の異常に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
18592057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊本 裕行 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 教授 (70215028)
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Keywords | 歯原性腫瘍 / 腫瘍進展 / 骨内微小環境 |
Research Abstract |
歯原性上皮の腫瘍化に伴う骨内微小環境の動態および腫瘍との相互作用の異常を解明するため、腫瘍進展に関わることが予想される細胞外基質分解酵素とその制御因子、相互作用のメディエーターとその受容体について、歯原性上皮に由来する代表的な腫瘍であるエナメル上皮腫および悪性エナメル上皮性腫瘍における発現を免疫組織化学的に検索した。 1.uPA,uPAR,PAI-1,マスピンの検討 歯胚、エナメル上皮腫、悪性エナメル上皮性腫瘍において、基質分解に関わるセリンプロテアーゼuPA、その受容体uPARおよびインヒビターPAI-1、マスピンについて検索した。これらの歯原性組織において、uPAは間葉系細胞、uPARは上皮性細胞に主として認められ、PAI-1発現は両者にみられたが、マスピンは上皮性細胞のみに認められた。uPAおよびuPARの発現は歯胚に比ベエナメル上皮性腫瘍で高い傾向がみられ、PAI-1は歯胚に比べエナメル上皮性腫瘍で低い発現傾向を示した。またマスピンは歯胚に比ベエナメル上皮腫で有意に高かったが悪性エナメル上皮性腫瘍での発現は低かった。 2.IGF,PDGFおよびその受容体の検討 歯胚、エナメル上皮腫、悪性エナメル上皮性腫瘍において、骨基質中に多く含まれ様々な役割を果たす増殖因子IGF,PDGFおよびその受容体について検索した。これらの歯原性組織において、IGF,PDGFおよびその受容体の発現は主として基底膜付近の上皮性細胞にみられた。IGF-IIの発現は歯胚に比べエナメル上皮腫で有意に高く、類腱型エナメル上皮腫では他の亜型に比べIGFおよびその受容体の高発現を示した。PDGFおよびその受容体は悪性エナメル上皮性腫瘍で高い発現を示し、PDGFは濾胞型エナメル上皮腫で叢状型に比べ高い発現を示した。
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