2007 Fiscal Year Annual Research Report
炎症におけるプロスタサイクリンの役割とその作用機序の解明
Project/Area Number |
18592060
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横山 知永子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯薬学総合研究科, COE抛点形成特任教員 (90200914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
中浜 健一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (60281515)
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Keywords | プロスタグランジン / プロスタサイクリン / 腎臓 / 炎症 / 血管障害 |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI_2)は、血小板の凝集抑制作用、平滑筋の弛緩作用、細胞増殖制御能を持つ強力な生理活性脂質で、リン脂質からホスホリパーゼA2によって切り出されたアラキドン酸にシクロオキシゲナーゼが作用し、産生されたプロスタグランジン(PG)H_2からPGI_2合成酵素によって産生される。PGI_2は細胞膜上のPGI_2受容体だけでなく、核内受容体であるPPARδの内因性リガンドとして作用し、最近炎症との関連が注目されている。しかしながらその詳細は明らかではない。本研究では、腎障害を発症するPGI_2欠損マウスやその細胞を用いて、PGI_2の炎症における役割と作用機序を明らかにすることを目的とし、本年度は、おもに骨代謝におけるPGI_2の作用に関する検討をおこなった。 PGI_2と骨周辺の炎症との関連を調べるに当たり、骨形態におけるPGI_2欠損の影響を観察したところ、欠損マウスの雌に有意な加齢に伴う骨梁密度の増加と総骨量密度の低下が認められた。また、骨髄細胞を用いで骨芽細胞および破骨細胞への分化能を調べた結果、PGI_2欠損はTRAP陽性破骨細胞形成に差は認められないが、骨芽細胞分化を抑制する傾向が観察された。これらのことから、PGI_2は正常な骨量と骨の微細構築の維持に関与している可能性が示唆された。一方、コラーゲン抗体誘発関節炎モデル実験のために、戻し交配によりBALB/c系統PGI_2欠損マウスを作製し、現在検討を進めている。
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