2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原因菌による血管内皮細胞の細胞死と骨吸収抑制因子による細胞死抑制機構の解明
Project/Area Number |
18592064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 美智代 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 助教 (80316265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 恵美子 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (80113570)
広瀬 公治 奥羽大学, 歯学部, 教授 (10218836)
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Keywords | Osteoprotegerin / インテグリン / 血管内皮細胞 / 細胞死 |
Research Abstract |
【目的】近年、疫学的な調査から歯周病が心疾患のリスクファクターであることが指摘されるようになり、特に血管壁に対する為害作用が注目されている。歯周病原因細菌であるPorphyromonas gingivalisの産生するgingipainはP.gingivalisの産生する総プロテアーゼ活性の85%以上を占めている。Gingipainの病因作用の一つに、カドヘリンなどの細胞接着因子を分解し、歯肉細胞や血管内皮細胞などの足場依存性細胞の付着喪失による特異的な細胞死(アノイキス)を導くことがある。我々は骨吸収抑制因子osteoprotegerin(OPG)がこれらアノイキスを抑制することを見いだした。この研究の目的はOPGにおける血管内皮細胞のアノイキス抑制の機序を明らかにすることである。 【方法】OPGを20ng/ml、100ng/mlおよび500ng/mlの濃度で添加した無血清培地(H-SFM)にてヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)を36時間培養し、細胞の増殖をtetrazolium(WST-8)reduction assayにて測定した。細胞の遊走実験はfibronectinおよびvitronetinでコートしたFALCON Cell Culture FluoroBlock Insertsを使用し、染色した細胞の蛍光強度を測定することにより遊走能の定量化を行った。 【結果および考察】OPGを添加した細胞群は、非添加群に比較してOPG濃度依存的に細胞の増殖が認められた。さらにvitronectinをコートしたinsertにおいてOPG濃度依存的に細胞遊走の亢進が認められたが、fibronectinにおいては遊走能亢進の濃度依存性は認められなかった。血管内皮細胞に発現しているvitronectin特異的インテグリンはαvβ3とαvβ5である。よって、αvβ3とαvβ5の抗体で15分処理した後、細胞遊走実験を行った。その結果、αvβ3特異的に細胞の遊走能の亢進が認められた。 【結論】これらの結果より、OPGは血管内皮細胞の増殖、遊走の重要な刺激因子であることが示された。αvβ3は血管内皮細胞の抗アポトーシス作用に重要な役割をはたすことから、OPGがこれらインテグリンの発現増加を介してアノイキスを抑制している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)