2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18592070
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 Nihon University, 歯学部, 准教授 (10226532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 教授 (60147618)
田邉 奈津子 日本大学, 歯学部, 助教 (10409097)
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Keywords | 骨代謝 / 亜鉛製剤 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
平成18年度は,骨芽細胞側からのアプローチを行い,亜鉛製剤が細胞のIkBのリン酸化を抑制することで,破骨細胞形成促進因子の一つであるM-CSF発現を減少させていることが示唆された。平成19年度は破骨細胞前駆細胞側からのアプローチを行った。すなわち,株化破骨細胞前駆細胞(RAW264.7細胞)を用いて検討を行った。破骨細胞前駆細胞から成熟した破骨細胞への分化には,骨芽細胞が合成するreceptor activator of NF-kB ligand(RANKL)と破骨細胞前駆細胞のRANKL receptorであるRANKとを介した細胞間接着が必須である。RANALが結合した後,破骨細胞前駆細胞のIkBのリン酸化促進を介して,成熟破骨細胞への分化および機能発現につながると考えられている。平成18年度の結果から,亜鉛製剤が細胞のIkBリン酸化を抑制することが示唆されたため,破骨細胞前駆細胞のIkBのリン酸化を抑制することで,破骨細胞前駆細胞から成熟破骨細胞への分化を抑制しているのではないかと考えた。そこで,RAW264,7細胞に分化促進因子としてmacrophage colony-stimulating factorと可溶性RANKLを添加し,亜鉛製剤を添加・非添加で5,10,20および30分間培養してIkBのリン酸化に及ぼす亜鉛製剤の影響をWesternblottingで検討した。その結果,RANKL刺激によって増加したIkBのリン酸化は亜鉛製剤(300μM)の添加によって明らかに減少することが認められた。さらに,亜鉛製剤の添加によって,破骨細胞のマーカーの一つである酒石酸耐性酸ホスファターゼ陽性の成熟破骨細胞の形成が有意に減少することも明らかになった。これらの結果から,亜鉛製剤は破骨細胞前駆細胞のIkBリン酸化を抑制することで,成熟破骨細胞への分化を抑制する可能性が示唆された。
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