2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18592070
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 Nihon University, 歯学部, 准教授 (10226532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 教授 (60147618)
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Keywords | 骨代謝 / 亜鉛製剤 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
平成20年度は,主に破骨細胞の分化に及ぼす亜鉛製剤(β-alanyl L-histidinato zinc: AHZ)の影響について検討した。破骨細胞のモデル細胞として,破骨細胞前駆細胞であるRAW264.7細胞を用い,培養液に可溶性RANKを添加して成熟破骨細胞へと分化させた。この際,培養液に300μMのAHZを添加・非添加で5日間培養した。培養後の細胞からRNAおよびタンパク質を抽出した。また,培養上清も回収した。成熟破骨細胞の分化マーカーとして捉えられているcarbonic anhydraseII (CAII), cathepsin K (CK)およびmatrix metaroproteinase-9 (MMP-9)の遺伝子発現に及ぼすAHZの影響をrea1-time PCRによって調べた。その結果,いずれの遺伝子発現もAHZの添加によってコントロール群と比較して有意に減少した。CAII,CKおよびMMP-9のタンパク発現に及ぼすAHZの影響についてもWestern blotで併せて検討した。その結果,AHZの添加によって,いずれのタンパク発現もコントロール群に比べて減少することがみとめられた。また,破骨細胞分化マーカーの一つである酒石酸耐性酸ボスファターゼ(TRAP)染色を行った。コントロール群ではTRAP陽性の多核細胞が数多く見られたが,AHZ添加では,TRAP陽性の多核細胞の数は著しく減少した。さらに,NF-κBの活性化リン酸化におよぼすAHZの影響を調べたところ,AHZの添加によってNF-κBのリン酸化は顕著に抑制された。これらの結果から,AHZは破骨細胞前駆細胞のNF-κBの活性化(リン酸化)抑制を介して,破骨細胞の分化を抑制している可能性が示唆された。
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