2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核内MALT1のNF-kB転写活性抑制による口腔扁平上皮癌進展の解析
Project/Area Number |
18592073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
今井 一志 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教授 (10328859)
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Keywords | 癌 / 歯学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 実験腫瘍学 |
Research Abstract |
顎口腔領域で最も発生頻度の高い悪性腫瘍である扁平上皮癌の進展が、どのような分子機構に基づいているかは未だに明らかになっていない。我々は口腔扁平上皮癌細胞で高頻度に染色体異常がみられる18q21に位置するmucosa-associated lymphoid tissue 1(MALT1)遺伝子に注目し、その発現と機能について検討してきた。MALT1タンパク質が45.9%の口腔扁平上皮癌で発現を停止しており、MALT1陰性症例では5年累積生存率が有意に低下することを明らかにした。MALT1遺伝子の発現停止は、MALT1遺伝子座のマイクロサテライト不安定性およびMALT1遺伝子プロモーター領域のメチル化に密接に関連していた。また、MALT1は細胞核内でNF-kBの転写活性抑制に働いており、MALT1遺伝子の発現停止・低下によってNF-kB抑制機構が破綻し、口腔癌の進展に向かうと予想される(投稿中)。しかし、MALT1がどの様な分子機構でNF-kBの転写活性を抑制するのかは不明である。 本研究課題では、MALT1によるNF-kB転写活性抑制の分子機構を明らかにすることを目的としている。機能ドメイン欠失型MALT1変異体(dnMALT1)やMALT1特異的siRNAを作成し、NF-KBの転写活性と口腔癌細胞の浸潤能等に対する作用を解析した。dnMALT1発現癌細胞は野生型MALT1発現癌細胞に比較してin vitro浸潤能、造腫瘍性、増殖能、3次元コラーゲンゲル内浸潤能、Matrigel evasion能等を亢進していた。また、細胞外マトリックス分解酵素であるゼラチナーゼB(MMP-9)の発現もdnMALT1発現細胞株のみに認められた。siRNAを導入してMALT1の発現を特異的にブロックした場合、NF-kBの転写活性とin vitro浸潤能の上昇、およびゼラチナーゼBの発現停止がみられた。以上の結果から、MALT1は口腔癌細胞においてNF-kB転写活性の抑制と癌細胞浸潤能の抑制に働いていることが明らかになった。現在、MALT1がNF-kBの転写活性を抑制する詳細な分子メカニズムを解析中である。
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Research Products
(2 results)