Research Abstract |
睡眠時でも大きな違和感なく身体に装着可能な小型装置を用いてブラキシズム発生を予測し,未然に抑制するシステムを開発することを目的とし,本研究期間では,ブラキシズム発生の予測方法と,睡眠状態を変化させずにブラキシズムを抑制する刺激方法の2点について検討し,プロトタイプの完成をめざした. まず,ポータブル型筋電計および腕時計型睡眠ステージ分析装置の使用感および装着時の睡眠への障害の程度に検討した.睡眠時ブラキシズムを自覚し,かつ他人からのブラキシズムの指摘,咀嚼筋痛,異常な咬耗のいずれかを満たす6人の被験者に上記装置を3日から5日間自宅にて使用させ,その使用感および睡眠障害の程度について検討を行った結果,センサーの脱落等の報告はあったものの,ほとんど全ての被験者がその使用感について問題ないとし,装着時の不快感,睡眠への障害はほぼなかったとの結果を得た. さらに,睡眠時ブラキシズムをもつ被験者2名に対して小型生体刺激装置により入眠時より約3時間,睡眠時ブラキシズム発現時に電気刺激(15mA,5秒間,0.2秒間隔)を加えたところ,電気刺激による睡眠時ブラキシズム音の軽減がみられ,電気刺激を与えることにより睡眠時ブラキシズムを抑制できる可能性が示された.また,この際に睡眠深度に大きな変化はなく,電気刺激により睡眠が妨げられることはなかったと考えられる.今後,電気刺激時の筋電図計測,心拍数の変化などをトリガーとした刺激の検討,被験者数の増大などを図っていく予定である. 以上から,ウェアラブル睡眠センサにより睡眠状態をモニターしながら,ブラキシズムを能動的に抑制するシステム開発への基礎が整えられ,実用化の可能性が示された.
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