Research Abstract |
本研究では,我々が開発した小型貼付型ブラキシズム(Brux)測定装置(BiteStrip^<【○!R】>)を用いて,(1)青年層のBrux頻度と頭頚背部の筋痛,顎関節症状との関連を検討する,(2)高頻度で生じたエラーの原因と思われる東洋人特有の皮膚抵抗に対応した改良型装置の開発を行う,(3)妥当性の高い測定ならびに評価方法の検討を行った. 高校生195名ならびに専門学校生96名にBiteStrip^<【○!R】>を使用させ,Brux評価を回数により4段階にて評価した.臨床診査は,信頼性が予め得られている2名の検者が片側15部位の圧痛の有無ならびに顎関節雑音の有無,開口量測定を評価し,それらとBrux頻度との関連をオッズ比を算出し検討した. その結果,Brux頻度と高校生男子の顎二腹筋後腹,専門学校生の咬筋と僧帽筋の筋痛に有意な関連が認められた.(高校生男子:オッズ比:0.18,p=0.02,専門学校生:オッズ比=3.51,p=0.03,オッズ比=7.25,p=0.01).顎関節症状は,高校生男子においてBrux頻度と関節雑音の有無に有意な関連(オッズ比=6.67,p=0.02)が認められたが,高校生女子,専門学校生には認められなかった. 一方,この疫学研究より高頻度にエラー表示が発生する問題点が生じたため,起動プログラムならびに皮膚通電感知センサーの仕様変更を行った改良型BiteStrip^<【○!R】>を開発した.この新旧BiteStrip^<【○!R】>の測定結果を比較し,改良の効果について検討すべくBrux陽性と診断された6名に5日間,新旧BiteStrip^<【○!R】>を連続貼付させた.その結果,旧型ではエラー表示は14個(46.7%)であったが,新型では1個(3.3%)と明らかにエラー発生率は低下した(P<0.01, Chi-Square test). さらに,Brux評価方法を検討する目的で,簡易型ポリソムノグラフにて睡眠時ブラキシズム陽性,陰性およびそれらの中間と診断された健常被験者10名にBiteStripを10日間連続して使用させ,高頻度のBrux群を検出する評価方法について検討した.その結果,1夜のデータを用いた場合でも中等度の感度,特異度を示した.一方,検査を連続2夜行った場合,1夜のみの検査結果と正診率は変化しなかったが,感度を向上させることができた.
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