2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗菌性賦与バイオマテリアル「放電陽極酸化処理チタン」臨床応用の為の基礎研究
Project/Area Number |
18592141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
櫨場 八裕 昭和大学, 歯学部, 特別研究生 (30349047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有本 隆文 昭和大学, 歯学部, 助手 (60407393)
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 助手 (30327936)
五十嵐 武 昭和大学, 歯学部, 教授 (10159585)
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Keywords | Streptococcus mutans / Porphyromonas gingivalis / Candida albicans / Staphylococcus aureus / 陽極酸化処理 / 抗菌 / チタン |
Research Abstract |
菌液の濁度を0.1に調整したものを5μl滴下し、湿潤な状態を保持しつつ一定時間保温後、生存菌数を測定するために、混尺培養を行い、嫌気状態で二日培養後プレートに生えてきたコロニー数をカウントした。 (1)口腔内齲蝕病原性細菌であるStreptococcus mutansを対象に行った陽極酸化処理チタンの抗菌実験では、調整菌液滴下後、5時間で完全に菌が死滅した。 (2)歯周病原性細菌と考えられているPorphyromonas gingivalisを対象とした実験では、およそ1時間菌液を抗菌性チタンに作用させただけで、菌が完全に死滅していた。 (3)口腔内常在真菌であるCandida albicansを対象に行った実験では、5時間で完全死滅には至らなかった。 (4)一般細菌である Staphylococcus aureusを対象に行った実験では、およそ15分間、陽極酸化処理抗菌チタンに作用させただけで菌が完全に死滅していた。 陽極酸化処理を行う際に用いる溶液を種々試したところ、NaCl、KCl、MgCl_2、NaFなどの溶液で処理を行ったところ、抗菌性を持ったチタンを得ることが出来たが、MgSO_4、Ca(OH)_2の溶液で処理したものはいずれの菌にも抗菌性を示さなかった。この結果から、抗菌性チタンを得るための陽極酸化処理には、F、Clなどのハロゲン族の原子を含んだ溶液が必要である可能性が示唆された。 現在までのところ、陽極酸化処理による抗菌性チタンは口腔内細菌はもちろんのこと一般細菌にも効果が期待できることが示唆された。この結果から、本陽極酸化処理チタンは口腔内のみならず、全身に対しても応用できる可能性が示唆された。しかし、C.albicansのような真菌に対する抗菌力はいまだはっきりしておらず、より詳細に真菌に対する抗菌力を評価していく必要があると思われる。
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