2006 Fiscal Year Annual Research Report
デュアルキュア型レジンセメントの重合性に及ぼす酸性モノマーの影響
Project/Area Number |
18592150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
平林 茂 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30121130)
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Keywords | 接着性レジンセメント / 酸性モノマー / 歯科生体材料 |
Research Abstract |
歯質接着にセルフエッチングプライマー(SEP)を用いるデュアルキュア型レジンセメントの重合性に及ぼす酸性モノマーの影響を調べる目的で、市販の接着システムを使用して、歯面処理におけるpH変化と処理時間による接着強さの変化を調べた。 接着システムとして、pH2.14のSEPを用いるパナビアフルオロセメント(PA:クラレメデイカル)とpH3.37のSEPを用いるリンクマックス(LM:ジーシー)の2種を選択し、被着対象として牛歯象牙質を使用した。研磨象牙質に対して各SEPを作用させると、そのpH値は時間の経過とともに連続的に上昇するが、業者指示の処理時間30秒後も前者で約2.5、後者で約3.8であった。SEP中に含有される酸性モノマーは歯質の無機質を溶解、塩を形成して次第に中和されていくが、指定の処理時間ではまだかなり残留していることが推察された。その残留酸性モノマーが後から作用させるレジンセメントの重合を阻害することが懸念される。そこで、SEPの処理時間を短縮した10秒と業者指示の30秒とで接着強さに相違が認められるか試験した。各処理象牙質に対するコンポジットレジンインレーのせん断接着試験により評価した。インレーに光照射を行う光重合と光照射しない化学重合による相違も検討した。その結果、いずれの材料においても処理時間および重合法による有意差は認められなかった。さらに酸性モノマーが残留しやすいアクリル板を被着体として同様な実験を試みた。その結果、pHの低いPAでは、化学重合を行った場合、有意差は認められないものの接着強さが低下する傾向が認められた。さらにPAでは、SEPの代わりに光重合型レジンプライマーを使用すると、化学重合では全く接着しなかった。このことから、SEP中に含有される化学重合触媒が酸性モノマーによるレジンセメントの重合阻害を改善していることが推察された。
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