2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18592153
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
久保 金弥 Asahi University, 歯学部, 講師 (00329492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 周 朝日大学, 歯学部, 教授 (50229069)
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70184364)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (90084780)
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Keywords | 咬合不全 / 海馬 / スパイン / 空間認知能 / SAMP8 |
Research Abstract |
咬合挙上(マウスの上顎臼歯に歯科用レシンをもる)が海馬機能に与える影響を学習機能(Morris水迷路学習テスト)の行動学的解析と海馬の神経細胞樹状突起におけるスパイン数の定量的解析(Golgi-Cox法)を行うことにより検討した。咬合挙上は生体に慢性ストレッサーとして作用し、Morris水迷路学習テストにおいて、老齢老化促進モデルマウスの空間認知能を顕著に低下させた。これに対して、若齢マウスでは空間認知脳の低下は認められなかった。また、空間認知能の低下した老齢マウスでは水迷路学習テストにリンクした海馬錐体細胞樹状突起におけるスパイン数が同齢コントロールマウスに比較して有意に減少していた。しかし、空間認知能の低下がみられない若齢マウスでは咬合挙上群とコントロール群間でスパイン数に有意な差はみられなかった。この結果は、咬合挙上が特に老齢マウスに強い影響を及ぼし、記憶活動における海馬への情報入力量を顕著に減させ、シナプス後器官であるシナプス形成を障害する結果、空間認知能を低下させることが示唆された。この成果は咬合が脳の高次機能中枢特に海馬機能に及ぼす影響の解明につながるだけではなく、咀嚼機能維持や咬合不調和の改善を始めとする歯科医療の重要性が脳科学的に証明するものである。また、「噛むこと」の重要性が社会に認識されはじめた今日において「しっかりと噛める」状態にするための歯科医療の重要性を社会にアピールできると考える。
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