2006 Fiscal Year Annual Research Report
ビスホスホネート長期投与による歯科治療後の顎骨壊死に関する研究
Project/Area Number |
18592162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
出山 義昭 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80271667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00109456)
鄭 漢忠 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80180066)
飯塚 正 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80168062)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30230816)
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Keywords | ビスホスホネート / 顎骨壊死 |
Research Abstract |
ビスホスホネート(BP)は強力な骨吸収活性を持ち、骨粗鬆症、高カルシウム血症、乳癌や前立腺癌などによる腫瘍整骨破壊、骨パジェット病などの骨吸収が亢進した疾患の治療に臨床応用されている。一方でこれらの治療の目的でパミドロネートなどのBP長期投与により顎の疼痛、軟組織の腫脹ならびに感染、歯牙動揺、骨露出などの症状を伴った顎骨壊死が生ずるとの報告がなされている。本研究はこの発症機構解明を明らかにするとともに予防策や治療法の開発の一助となる研究を行うことを目的とした。 本件における顎骨壊死には破骨細胞の活性抑制による骨吸収抑制の他にも骨芽細胞の活性化による骨形成促進が原因になっている可能性が推測される。そこで本年度は2種類のBPを骨芽細胞に添加し,骨芽細胞に対するBPの効果を長期に観察した.骨芽細胞はアルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性が増加し,石灰化した骨様組織を形成することからBSの作用の評価に適するMC3T3-E1細胞を選択した.窒素含有BPであるYM-529を添加した際,骨芽細胞の石灰化期にコントロール群と比較してALP活性が増加し,カルシウム染色により,石灰化も亢進していることが判明した.一方,窒素を含まないBPであるetidronateを添加した際には,分化期後期にALP活性に差が認められたことから,2種類のBPに作用時期の違いがあることが示唆された.また,BPの骨吸収抑制作用には,破骨細胞に対する作用だけでなく,骨芽細胞に対する直接的促進作用も関与している可能性が示唆された。 来年度以降は、本年度と同様の実験をパミドロネートやゾレドロン酸を用いて行うとともに、BPによる顎骨壊死の一因と推測されている血管形成に対するBPの作用について明らかにし、動物実験との併用により本メカニズムの臨床適用への可能性について検討する予定である。
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