2007 Fiscal Year Annual Research Report
発現遺伝子プロファイルを用いた口腔扁平苔癬の薬剤感受性と悪性化の診断に関する研究
Project/Area Number |
18592163
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 裕 Hokkaido University, 北海道大学病院, 講師 (90250464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00224957)
柏崎 晴彦 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10344516)
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Keywords | 口腔扁平苔癬 / 薬剤感受性 / 悪性化 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
口腔扁平苔癬は、口腔粘膜に発現する各種の皮膚科的疾患のなかでは最も頻繁にみられる慢性炎症性病変である。中年期の女性に頻度が高く、頬粘膜に好発し、発赤したびらん状の粘膜を背景に、白色丘疹の網状やレース状を呈することが多い。しばしば強い接触痛や刺激痛を伴い治療に難渋する症例を経験する。C型肝炎やGVHDとの関連が以前より指摘され、自己免疫機序の関与が示唆されているが、その病態はほとんどわかっていない。扁平苔癬は、特に様々な病熊を含んだ症候群的色彩を有しているため、患者のQOL向上に寄与するため、症例毎に最も適した治療の選択が望まれる。 本研究の目的は、様々な病態の口腔扁平苔癬の発現遺伝子プロファイルを比較し、それを応用して臨床的に問題となっている薬剤感受性および前癌病変の分子診断の可能性を検討することである。 当科を受診した患者のなかで、生検により病理組織学的に扁平苔癬と診断された検体を対象とし、生検組織の残りからRNAを抽出しマイクロアレイに供した。対象は6例(男1、女5、平均年齢58歳)で、部位は全例頬粘膜であった。臨床視診型は、網状型4例、びらん型2例であった。このうち4週間以上に亘るステロイドの局所塗布による治療効果は感受性群が3例、非感受性群が3例であった。また、病理組織学的に異形成を伴っていたのは1例であった。上記感受性群と非感受性群間でマイクロアレイを施行したが、感受性群が非感受性群より1.5倍発現量が増加あるいは減少している遺伝子を抽出したところ、それぞれ55個、63個であった。この中で感受性症例で低下が見られる筆頭のPSORS1C2は皮膚疾患であるpsoriasis症例でSNPとの相関が報告されており興味深い。抽出されたこれらの遺伝子群に変化が予想され、今後十分な症例数を用いて検討をするとこの中から有意なマーカーが得られる可能性があると思われた。
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