2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己分泌型遊走因子による上皮間葉移行と癌細胞悪性化の機構解明
Project/Area Number |
18592167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
新中 康史 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (80361715)
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Keywords | 実験腫瘍学 |
Research Abstract |
申請時は、ほとんどの施設、設備の整っていた東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面外科学分野であったが、科研費交付時は研究施設としてはほとんど何も無かった山梨大学医学部附属病院歯科口腔外科へ異動したため、研究自体が遅れている。 全てはコストダウンを第一に考慮にいれてまず、申請時に所属していた研究室からサンプルおよび株細胞数種を自家用車を用いて高速道路で搬送し、共同研究施設の細胞培養室を活用して細胞培養を行った。培養した細胞は液体窒素貯蔵容器を購入して共有施設を借りて置き、そこへストックした。試薬は全く何も無かったため、全て新規に購入し、新規にストック場所を設けた。危険物・劇物・劇薬のストックも消防法ならびに学内規約にしたがって新規にストック場所を設けてストックを行った。試薬等のための研究室用冷蔵庫冷凍庫も無かったが予算が限られているので家庭用の冷凍冷蔵庫を購入し、試薬の保存場所とした。ボトルやシリンダーなど容器も全く無かったので、新規に購入し試薬や溶液の調整に用いた。卓上の小型クリーンベンチを購入し、試薬や溶液の調整に用い、オートクレープは歯科用のもの(高さに制限があるのでボトルの高さの低いものを選ぶなどの工夫をおこなった)を代用した。実験周辺機器の整備を新規購入にて行い、ようやく実験が有る程度できるまでになった。現在様々な実験のテストランを行っているところであるが、データは順調に出始めている。 テストランの中で得たデータであるが、EMT関連遺伝子(Snail, Slug, Twist)は、ある程度由来する癌細胞の組織型に相関するという結果が得られた。例えば、低分化癌(低分化型扁平上皮癌)ではSnailの発現が多いが、高分化癌(高分化型扁平上皮癌)ではSnailの発現が低いという傾向が見られた。しかしこのような発現傾向は同一株細胞でも一様ではなく、細胞周期により変化することが明らかになった。例えばSnailの発現は、高分化癌も対数増殖期にはある程度の発現を認めるが、増殖がプラトーに達すると次第に減って行くという結果を得ている。詳細については、本年秋の学会で発表の予定である。これとは別に間葉系細胞の良性腫瘍に関して興味深い症例を経験したので、関東地方会にて報告したが、極めて稀な症例であったため、平成19年度総会と国際学会に発表の予定で、論文に関しては平成19年度発表の予定である。
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