2007 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌内部環境下におけるDNA修復機構が関与するシスプラチン耐性化機序の検討
Project/Area Number |
18592180
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
目瀬 浩 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40325098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志茂 剛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40362991)
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Keywords | シスプラチン(CDDP)耐性 / 固形癌内部環境 / 低酸素環境 / DNA修復機構 / NIF-1α |
Research Abstract |
シスプラチン(CDDP)は優れた抗腫瘍効果から、固形癌化学療法における重要な抗癌剤で、口腔悪性腫瘍においても頻用されている。しかしながら、口腔癌を含む多くの固形癌ではCDDPに抵抗性を示す。その理由の一つとして固形癌内部の環境因子がストレスとなり耐性獲得に関与すると考えられる.また、近年、固形癌内部環境に特有な低酸素状態がDNA修復機構に大きく影響を及ぼすことが明らかとなってきた。つまり,固形癌における固形癌内部環境がCDDPに対するDNA修復機構を不安定にさせることによりCDDP耐性を誘導しているものと考えるが、その誘導機序に関してはほとんど解明されていないのが現状である。 そこで、本研究では、固形癌における内部環境下に特有のCDDPに対するDNA修復機構を検討し、DNA修復機構をターゲットとした固形癌におけるCDDP耐性化機序の解明を行うことを目的に行った。 研究に用いた細胞株は親株A431細胞株(A431/P)及びCDDP耐性細胞株(A431/CDDP1,A431/CDDP2)、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2,HSC3,HSC4)である。まず、それぞれの細胞株を低酸素環境下においてCDDP感受性を検討した結果、A431/PはCDDPに対して高感受性化を示したが、A431/CDDP1及びA431/CDDP2ではほとんど変化しなかった。しかしながら、HSC2では低酸素環境下では低感受性となり、CDDPに対して耐性化を認めた。このCDDP感受性を規定するDNA修復機構因子をWestern Blottingにて検索したところ、それぞれに共通する単一の規定因子ははっきりとしなかった。しかしながら、低酸素誘導因子であるHIF-1αはCDDP感受性を規定する因子の一つでることが明かとなった。 以上より、固形癌(特に口腔扁平上皮癌)内部環境である低酸素環境下においてシスプラチン耐性化機序はHIF-1αが誘導するDNA修復機構因子が関与することが示唆された。
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