2006 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症の病因解明の試み;滑液中の蛋白修飾糖類の解析による糖鎖異常の検討
Project/Area Number |
18592207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高橋 基浩 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30329388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬上 夏樹 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40148721)
金山 景せき 金沢医科大学, 医学部, 講師 (50329380)
吉竹 佳の 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (00150764)
出村 昇 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60188703)
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Keywords | 顎関節症 / 滑液 / 蛋白糖鎖 / 生化学的解析 |
Research Abstract |
顎関節症の病態をより明らかとし病因解明をはかるために以下の臨床ならびに実験的研究を遂行した。 1)臨床的検討:26例の顎関節症患者(顎関節内障16例、変形性顎関節症10例)および対照群:(無症候者7名)の上関節腔滑液を希釈回収して生化学的分析を行った。この結果、滑液中の平均総蛋白量は患者群(変形性顎関節症:2485μg、顎関節内障:1353μg)が対照群(615μg)より有為に高値を示した。電気泳動解析では、22種の分子量の異なる糖鎖バンド(14〜700kd)が検出されたが、患者群では140kdより大きな分子量の糖鎖が多く検出された。 また、滑液中に検出されるsubstance-Pについて、54関節の顎関節症滑膜組織において免疫組織化学的検討を行ったところ、患者群87%、対照群50%で陽性を示した。また血管内皮細胞中のsubstance-P陽性細胞比は、患者群で有為に高かったが、内視鏡診断での滑膜炎重症度との相関はなかった。 また、滑液中Interleukin-8(IL-8)について、44例の顎関節内障患者の滑膜組織において免疫組織化学的検討を行ったところ、主に血管構成細胞を主体に患者群80%、対照群25%で陽性を示した。しかし滑膜組織中のIL-8陽性細胞頻度は、臨床症状や所見との相関はなかった。 2)実験的研究:家兎6羽6顎関節に対してスプリングを用いた外力を4週間負荷して作成した顎関節炎において、滑液を採取して蛋白濃度を計測した。この結果、負荷群では非負荷群に比べて蛋白濃度が有為に高値を示した(1824μg:398μg)。さらに泳動解析で負荷群では140kd以上のバンドが多く検出された。 以上の結果より、顎関節症において種々の炎症物質など滑液中の蛋白量は増加することが明らかとなった。今後引続きさらに詳細な分析が必要である。
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Research Products
(3 results)