2008 Fiscal Year Annual Research Report
前癌状態である扁平苔癬の発現とHCVによるインスリン抵抗性獲得との関連
Project/Area Number |
18592213
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長尾 由実子 Kurume University, 医学部, 准教授 (90227992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
川口 巧 久留米大学, 医学部, 講師 (00320177)
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Keywords | 扁平苔癬 / 肝外病変 / 口腔扁平上皮癌 / インスリン抵抗性 / 重複癌 / C型肝炎ウイルス / スタンダードプレコーション / 歯科治療 |
Research Abstract |
研究1【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)は、扁平苔癬をはじめとした肝外病変を引き起こす。本研究では、HCV感染に関連する重複癌とインスリン抵抗性との関連を検討した。【対象】1992年〜1994年に久留米大学を初めて受診加療した口腔扁平上皮癌60例。【方法】(1)多重複癌の検索方法:上部消化管、腹部エコー、生化学検査等の検査。重複癌発生有無は、カルテ調査と全診療科から提出された病理組織診断の確認。(2)多重複癌発症の観察期間:初診日から最終再来日(2008年10月17日直近日)。【結果】対象60例における重複癌発生率は35%(21/60)、HCV抗体陽性率は26.7%(16/60)。HCV抗体陽性者における重複癌発生率(62.5%)は、HCV抗体陰性者(25%)よりも有意に高率であった。HCV感染者の重複癌として最も多く認められた臓器は肝臓であった。対象者60例をグループ1(重複癌あり、HCV感染あり)、グループ2(重複癌あり、HCV感染なし)、グループ3(重複癌なし、HCV感染あり)、グループ4(重複癌なし、HCV感染なし)に分けると、グループ1はグループ4に比べ有意にインスリン抵抗性が高率であった。HCV感染者には、インスリン抵抗性の測定を実施すると共に、肝外病変のチェックが必要である。研究2【目的】肝炎ウイルス感染患者が、歯科医療機関で肝疾患の病歴を申告しているかどうかを調査。【対象と方法】対象は、当大学病院消化器病センターを受診中のウイルス性肝疾患患者209名。医師と患者が無記名でアンケートに回答。【結果】感染者であることをいつも申告する患者の割合は59.8%、申告しない患者は28.2%。肝臓専門医は肝疾患患者に歯科治療への対処方法について助言を行うべきである。さらに、歯科医療従事者がスタンダードプレコーションを実施する一方で、院内感染対策を推奨し、援助するための国による適切な措置が望まれる。
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Research Products
(15 results)